片麻痺(脳梗塞後)の人が感じる世界② 自分の身体を適切に感じること

2024年12月20日 訪問リハビリテーションこころ

・手袋や軍手を34枚、履いて紐のきつい結び目をほどいてください

・厚い靴下を5枚履いて、でこぼこの道を歩いてください

 

触れている感覚がわからず、滑りやすくて力が入りませんか?

感覚がわからないと力が入りやすい → より力を入れて頑張ろうとする

→ 力が入れば入るほど指先(足裏)の感覚がわからなくなる → うまく行為できない

の悪循環になり、力が入れば入るほど行為の遂行に支障をきたします。

 

重ねた軍手や靴下を脱いで指先(足裏)の感覚がわかるようになると、

力を抜いて紐をほどく(歩く)ことができ、効率よく行為を行えます。

 

目一杯、力が入った状態では触れている・動いているといった繊細な感覚(差)を識別できず

歩いたり、手指での操作が難しくなる片麻痺の方を今まで多く担当してきました。

その方々に必要なことは「筋力向上」だと思いますか?

多くの片麻痺の対象者は、働く筋と働かない筋の差が著しく

(例えばつま先を下げる筋肉は働く、上げる筋肉は働かない)

「力を入れて!」と声かけすると働く筋のみが動いて、よりアンバランスさが増します。

(歩くのに更につま先が下がり、床に引っかからないよう、ももを高く上げる力が働く等)

 

過剰に力が入ることを制御し、力を抜くことで適切に感覚を認識して歩行や手指の操作など

滑らかに行為を行えるようになった方を何人も担当してきました。

片麻痺の方がどのような世界で生きているか、先日のブログで掲載しました。

https://familyclinic-cocoro.com/blog-riha/20230908/104/

 

・足が動く方向がわかれば

・足裏が床に触れている感覚がわかれば

うまく歩けるきっかけになるかもしれません。

 

・肩や肘・手首・手指が動く方向・距離がわかれば

・手指が紐に触れている感覚や摩擦の程度がわかれば

紐を縛ったりほどいたり、操作を行えるきっかけになるかもしれません。

 

対象者が感じる世界を理解し、どの身体部位、どの情報を認識できればうまく行為を行えるか

仮説を立て検証し、自分の身体を適切に感じてもらうことがリハビリを行う上で大切と考えております。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。