2022年09月02日 訪問リハビリテーションこころ
手前味噌ですが、当院の訪問リハビリは優れたスタッフばかりです。
そんな当スタッフがそれぞれ十分に能力を発揮できる環境を整えるのが管理者の責務です。
スタッフは急性期病院に長く勤務した者、整形外科病院にいた者、脳神経外科病院にいた者、
回復期病棟にいた者、介護施設にいた者、経歴が異なり得意分野も異なります。
それぞれのスタッフが自由に、自信を持って最大限の能力を発揮して利用者さんに貢献できるよう、
「こういった場合にはこの手技でリハビリするべきだ!」
「訪問リハビリはこうするべきだ!」のような細かいルールは作りたくないのが本音です。
最低限のことは伝えますし、業務上の書類チェックなど事務的なルールは必要ですが。
当訪問リハビリ事業所で管理者からスタッフへ依頼していることは
「利用者さんの希望を叶えてきてください」それだけです。
寝たきりの人が歩けるようになる、少し食べるとムセてしまう人がラーメンを食べられるようになる、
といった身体機能と比較して難しい目標を達成するという意味ではありません。
利用者さんの言いなりになるわけでもありません。
利用者さんが本当にしたいことはなにか、希望に沿った生活を送れるよう全力で支援するのが
訪問リハビリの仕事であり、スタッフに上記の依頼をしております。
入院中のリハビリは自宅に帰るために、最大限の能力を引き出すのが目的であることが多いです。
歩行なら歩行器 ⇒ 四点杖 ⇒ T字杖 ⇒ 独歩のように段階的にUPを図ります。
ところが自宅で生活する利用者さんは「T字杖は置いていたら床に落ちてしまうから、四点杖の方が良い」
「杖より歩行器の方が安心して歩ける」のように、最大能力の歩行道具を使用しないことは結構あります。
その時に「能力があるんだからT字杖にしないといけませんよ!」と押しつけるのは
利用者さんの望む生活からかけ離れることになりますよね。
ご要望を聞きながら進めることが大切です。
上記は一例ですが、利用者さんの希望(望む生活)はなにか、これを知ることは容易ではありません。
「希望を叶える」言葉では簡単ですが、実際に叶える事は難しいと毎日考えております。
筆者は十数年訪問リハビリをしていますが、100%利用者さんの希望を叶えられたと思えたケースは1度もありません。
でもそれで良いのだと思います。
希望は毎日変わるものですし、揺れ動く思いに寄り添いながら、最善はなにかを考え支援することが訪問リハビリの業務だからです。
100%叶えられたと思ったら、それ以上、療法士として成長することはないのかなと感じます。
訪問リハビリは在宅サービスの中で「どうすれば利用者さんの希望を叶えられるか?」
前向きに考えられる素晴らしい業務だと日々、思っております。
少しでも自宅で生活する利用者さんのお力になれればと存じます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。