2023年11月07日 こころ院長ブログ
今朝の朝刊に出ていた、病院の看護師労組支部のストについて。
ナース服に着替える時間を残業時間に含めて、残業代未払い分を支払うように、
とのこと。
さすがプロ、業務には師匠が出ませんでしたって。
そう言うところが、日本人ぽい。
欧米なら、業務は停滞しても、これは権利だと、ストをしたに違いない。
しかし、うーーーん。
日本の労働者の権利意識の欧米化、過剰化というか、一部の人ではあるが、
かなり進んでしまっているなぁと言う印象。
おそらく日本の風習としては、スタート前に準備をすると言うことは、
当たり前のことで、9時スタートなら、9時には、むしろ9時少し前には、
完璧な状態にして職場につく、と言うのが、昭和ー平成のスタンダードな
姿勢であったと思われる。
例えば、制服を着て出勤するタイプの人はどうなるだろうか?
その人には、カウントしないのか?それとも、それは都合よく、
着替えの時間があったものとして、賃金を要求するのだろうか?
着替えの時間は、人それぞれだったりする、それは、一般的な時間、と言うものを
どうやって設定して、どこで折り合いをつけるのか。
その着替えの時間は、男女、同じでいいのか、差別、区別するのだろうか?
労働者から見ると自分の時間を多く取られていると言う観点になるが、
会社側からすると、着替えの時間を含めるとそれにより労働時間、労働対価が
少なくなる、と言う観点になる。
全く相反する観点になり、しっかり話し合った方がいいと思う。
例えば、女優さんとか、出演前のメークの時間とか、残業代になっているのかな?
野球選手の練習や試合前の着替えとかって、残業代?
芸人さんのネタを考える時間、寝た合わせの時間って、残業代?
宅配便の不在時の再配送のとき、再配送の手間賃、追加料金、あなた、はらっています?
外科医の手術前のイメージトレーニングとかも残業代に入るの?
学会や医師会の活動も残業?
経営者、管理職に残業代つかないのは、差別じゃないの?
パワーバランスとしては、今の日本は、労働者>>>会社になっているので、
労働者のストライキや訴え、要求は、ある種、パワーハラスメント的な
要素があることを認識すべきである。
世の中の人は、まだ昭和の頃のイメージを引きずっているように思います。
今、会社は、労働者に対して、圧倒的な弱者なんですよ。
圧倒的弱者である会社側の人権?保護も、判断の観点に入れる必要がある。
権利を要求するときに、義務も伴うことは常に認識すべき。
他者に要求をするとき、自分も他社に要求うされうる、と言うこと。
上記の訴えを通せば、自分にも制限が加わる可能性がある。
つまり、少しでも労働時間をカウントして賃金を要求する、それが通るとい言うことは、
逆に、賃金が発生している間の労働に対して、より厳しく、その契約が
適応されることになり、勤務時間内に雑談をしたり、一休みしたり、
ぼーっとしたり、くつろいだり、スマホを確認したり、ちょっとネットを見たり、、、、
業務外のことを一切せずに黙々と働くこと、さもないとそこは労働していないと
判断され減給。。。。?とか、今の法律じゃぁ、そこまではならないでしょうが、
言われても、文句が言えない状況になるかもしれませんよ。
そう言ったやりとりは、なんだか、職場環境を悪化させそう。気持ちよく、働けなく
なりそう。
お互いに、権利の主張、義務の強要などなどしていては、せっかくのファミリーなのに、
なんだか、歪みあったり、揉めたり、いかに自分の権利を認めさせるか、と言う関係に
近づいていってしまいそう。
ちなみに、当クリニックは、年俸制であり、始業前の準備時間というものが
存在し、そこで着替えや始業の準備をしてもらい、9時に外来開始できるように、と言う
ことを契約前にお話ししており、同意をいただいております。つまり、着替えの時間も
も考慮して、年俸をつけています、と言う形は、開業当初からのスタンスです.
年俸にその業務に対する賃金も含まれている、と言う解釈ですが、もちろん、かわりにと
言うわけではありませんが、業務が手薄の時は、好きなように休めるし、
在宅勤務も奨励されていますし、休日ー祝日など勤務の際には、早上がりや時間休の取得など
も許可されています。
また、院内カンファレンスが10−15分 週1回、昼休みに行われる際には、昼食の支給があり、
時間外会議の際には、残業手当が支給されています。
それでも、時代の潮流で、事前準備や着替えの時間も残業にせよ、着替えなどの準備時間手当、
と言うような明確な区別をしてほしい、しなさい、と言う方向に世の中が
流れていくなら、それに対応していくことになるのではないか、と思います.
その時に、年俸からその分を分離して、ただ別に手当として表記すると言う形になるのか、
給与アップの形になるように手当として別に付加されるのかは、その会社の経営状態や
運営方針、労組間の関係性などによるのではないでしょうか.
しかし、残業時間の規定やパートさんの上限 壁の問題などもあり、提供できるサービスへの
影響もあったり、医療職には、なかなか、普通の仕事の条件が、適応しにくいのは事実です。
そもそもが、医療職自体、全体的に、労働環境がブラックであることが当たり前とされて、
医療制度が作られています。
サービス内容に対して、それを提供するスタッフの数が足りなすぎるし、診療報酬が少なすぎる。
一般職と同じ環境を整えるなら、今の倍以上はスタッフが必要になることが予想される。
だとしたら、診療報酬も今の1.6倍くらいは必要になるのではないかな?
じゃないと、医師や看護師を一般的な職と同じ労働時間にしてあげることはできない.
病院は、ほとんどが、9−17時で閉店、とはできないものですから.
医療、介護の業種は、自分で価格設定ができない以上、売上が上がると言うことがあまりない
業種であり、一般企業のように、景気がいいからと給与アップができる業種ではなく、
また、物価高、円安だから支援してくれと言われても、物価高により、価格の上乗せができないのに、
仕入れや燃料費などのコストの方は、価格上乗せしてくるので、実質、売り上げがどんどん
低下し、さらに利益が縮小している最中に、手当や給与のアップなどが難しいという
状態にあると言うことを、医療介護従事者は認識すべきである.
近々、医療介護の報酬改訂があるが、おそらく、数字だけ見た医療介護予算の膨らみに対する
会議室での適当な話し合いの結果、さらに診療報酬を引き下げようとしてくるでしょう.
そんな中で、スタッフの給与を上げたいと思っていても、どうやって上げてあげたらいいので
しょうか?
オリンピックとか、万博とか、そう言った目立つもの、人気取りになりそうなものには、
ボンボン予算を通し、足りなくなったら、算段が甘かったら、どんどん追加予算を出しているのに、
大事な医療福祉には、どんどん切り捨て.
少子化対策や格差是正と称して、無駄にお金を配ったり.
そうではなくて、子供たちに必要となる、教育や医療の無償化、高齢者の医療は、1割負担 定額、
生活保護の医療費も含めて1割は負担、労働者は2−3割負担.
それでいいんじゃない?
おそらくだけど、超高齢化社会は、長くは続かないと思う。
今の超高齢者が一番長寿の世代で、今後高齢者になっていく、われわれやその親世代は、
激しく労働し、色々な添加物を摂取していたり、社会のストレスに晒されたりしているので、
今の高齢者ほど長寿命であるとは思えない。
10年、20年後くらいには、一気に、人口ピラミッドは頭でっかちではなくなるような気がします。
その時に、コンパクトな新しい日本の社会ができていれば、別に、子供が少なかろうが、
日本は大丈夫な気がします。
若者が増えても増えなくても、結局、一次産業の成り手は足りない、タクシーやバスの乗務員は
足りない、職人の成り手は足りない、教師も足りない、あれこもれも足りない、
必要とされる働き手が増えるわけではない。
IT系、配信系、芸能系、スポーツ系、仕事あまりしないで自分の趣味と時間を優先する系など
人気の色の方に流れてしまう傾向になるのでは?と心配。
それで足りない業種は移民に頼る?って、それって、移民に自分たちのやな仕事をやらせるっていう、
ひどい待遇というわけではないけど、昔の奴隷制度や移民差別、的なことを連想させるようなことを
国家ぐるみで進めようとしているの?って感じてしまう。
もっと、ちゃんと子供達に、一生懸命努力すること、働くことの楽しさ、大事さ、自分の権利のこと
ばかり教えないで、人の権利や人のために働くことの大切さをしっかり教えるべき。
今の子達は、自分たちの権利のことについては十分熟知しているし、むしろ、過剰に主張しすぎている。
それよりも、相手の権利や過度の主張をしないこと、安易な他者の追求などをしないことなどを
教えた方がいい。
欧米スタイル=正しい、訳ではない。日本スタイルには日本スタイルの、他にはないメリットがいっぱい
ある。
必ずしも、古いスタイル、習慣を悪として是正しなければいけない訳ではない。
良きものは、良き、として、改善しながら残していく方がいいと思う。
当クリニックでは、そういった、新しい日本スタイルの労働環境を模索していきたいなと、考えています。
ストなんか起こさなくても、もっと穏便に話し合えばいいのになぁ、と個人的には思います。