名医とは

2023年05月09日 こころ院長ブログ

名医とは何だろう。

その答えは一つではない。

神の手、なんでも見抜く診断力、その道の権威、第一人者。。。。

地域医療においては、名医の条件の一つとして、紹介力、疑う力、連携力というものがある。

要は、クリニックで診ている患者さんを、どの段階で、どのタイミングで、どこに

相談するか、何の検査をするか、総合病院との連携をいつ図るか、ということ。

よく、自分は○×科だからわかりません。◇△科に相談してください。

と言われ、◇△科で癌が見つかった。

これは名医ではない。

単純に、患者放棄、大げさに言えば応召義務違反ともいえる。

自分では診ることができないなら、しかるべき人に診療してもらえるように

提案、紹介するべきである。まぁ、◇△科に相談するようにと言っているだけ、

ましで、場合によっては、うちでは診れない。だけだったり。

よそへ行ってとか、知らんけど内科で聞いてとか、冷たく足われることも

少なくない。

ただ、逆もしかり。

腹痛、胸痛、めまいなど種種の症状で受診しても、とにかく、診断もしない、

検査も診察もしない、わからないので、とにかく内科を、または総合病院を

紹介する。

丸投げである。

自分が簡単にわかる、簡単に治療できる、DO処方で済む、そんな患者さん以外は、

よそへやる、総合病院に紹介されたもの、どこそかの科に引き取られ、

色々監査してもらい、疾患は判明するであろう。

コレモ明医ではない。ただの丸投げおじさん。

何でも自分で診て判断する、診断する、それによって治療をする。良くならなくても

治療を継続する。最後まで自分で見ちゃう。

一見、やる気のある責任感のある医師にも見えるが、これも名医ではない。自分の手に負えないもの、

自分の判断で治療してもよくならないものは、もしかしたら診断や治療方針自体が

間違っていいるかもしれないと考えもしていない。専門家に相談する、精密検査を受けさせる、

という選択肢を持っていない。

それにより助かる命が助からないこともあるだろう。

これは、名医ではなく、傲慢な医師。唯我独尊医師。

ゆえに、名医とは、謙虚であり、責任感があり、己の知識と経験をもって、患者さんの

状態を診察し、診断し、治療を行う、と同時にあらゆる可能性を考慮し、必要に応じて、

適切な時期に総合病院もしくは専門医に相談したり、画像などの精密検査を受けることを

すゝめ、ちゃんとした診断を導き、正しい治療へ誘導できる医師の事なのではないだろうか?

丸投げしないけど、丸抱えもしない。

患者さんの利益を考える。

そして、強要しない。誰もが、正確な診断や手術や化学療法などの先端医療を受けたいわけではない。

透析を拒否する、という患者さんも最近は少なくない。

透析適応の腎不全でも、最後のぎりぎりまで自宅でのんびり苦しまずに家族とペットと過ごすことができる人もいる。

かたや、週3回の透析を受け、寿命は延びたが、透析の前後で溢水で苦しく、直後は除水で苦しく、

水制限などで常時苦しい生活を余儀なくされる人もいいる。

正解はわからない。なので、本人の意思が尊重されるべき。

医学的には、透析を勧めるべきなのかもしれないが、人道的には、本人の意思を尊重するべき。

そういった判断においても広い視野と受け入れる大きな器を持っていること。

それも名医の条件の一つなのでhないでしょうか。

私は、未だ名医の域には達していない。

でも、検査は、できる限り少なく。それでいて、必要な時には精密検査を勧め、専門医の診察が

有用であると判断した時には、連携病院に相談するように勧めています。

本人やご家族と相談し、年齢的にも治療は望まないし、検査儲けません、受けたくありませんと

話される方も比較的多い。

その場合には、メリットデメリットを説明させていただいたうえで、当クリニックでできる限りの

治療やサポート、支援の提案などをさせていただきますと話すように努めています。

とくに、とれば治る、飲めば治るような疾患でない場合は、患者さん本人との方向性の折り合い

を付けるということが重要なんじゃないかなと思います。

ゴッドハンドの先生方とちがい、私には、わたしにしか治せない、診られないという疾患はありません。

ただ、身体もよくないので、あまり遠くに何回も受診できないよというようなご高齢の方々が、

なるべく近場で治療が受けられるように、なるべく幅広い対応ができるようにと日々、精進しています。

今後ともよろしくお願いいたします。