2023年04月07日 こころ院長ブログ
急性期医療、救急医療は、神速をもってあたるべし。
その担当者が、面倒くさいな、大変だな、今忙しいなと、受け入れを拒否したり、
受け入れ対応に遅延があったりしてはならない。
そんなことがあったら、地域医療は成り立たない。
現場ではとにかく、人手が無い、器具・機材が無い、対応するすべがない、など
とにかく早く、病院に運ばないと患者さんの不利益が膨らむ、と必死である。
いかに早く、とりあえず、急性期、救急病院で受け入れるかが地域医療のカギとなる。
とにかく受け入れて、それでも対応困難な場合、応急処置だけでもして、別の
病院に搬送するでもいい。
とりあえず入院させて、他の医者にあたらせてもいい。
とにかく、現場から、救急対応が必要な患者さんを安全な、医者や看護師が大勢いる
場所に移すことが先決である。
現場には、医師が1名いるかいないか、看護師が1名いるかいないか、救急隊と家族など
しかいない状態。
薬剤も検査・処置の機材もほとんどない。
それで、受け入れ先を何時間も探すなど、地獄である。
攻めて病院で、本当の受け入れ先を探す、その方がどれだけ、安全性が高いか。
そういった志の高い急性期病院の方々の協力の下、我々在宅医師は、自分のなすべきことを
行うことができています。
ありがとうございます。
その反面、在宅医療も神速をもってあたるべし。
在宅医療の介入が急がれる状況、退院直後、体調不良時などは特に。
それを、初診は、数日後、1週間2週間後から、とか、受けられるかどうか、返事は翌日以降に
しますとか、そんなことを言っている在宅クリニックは、2流、3流であると
私は思う。
受けられるのか受けられないのか、2択。そんなん、相談受けた同日中にさっさと
返事をせんかい。
その返事次第で、別なところにも相談しなければならない相談者の立場も考えんかい。
そして、よほど状態が落ち着いている、緊急性が無い場合を除いては、とにかく初診は、
早急に行うべし。
契約しないと、24時間365日対応が発動しない。一度も見ていない人、行ったことが無い人に、
緊急変化が起こっても適切な対応ができない。
可及的速やかに対応すべし。
予定訪問依頼の場合には、できるだけ早く行けるプランを依頼者の予定と合わせてプランニングすべし。
対応が遅い、対応が悪い、患者さんをえり好みする、心根が良くない、そんな在宅クリニックは、
私は好かない。
在宅クリニックは、もはや腐るほどあるけど、地域医療にまい進する医師と、生活するため、
楽に稼ぐため、誰かの下で働きたくないから独立した、自分だけのクリニックで好き勝手威張って
やりたいから、別に興味もないけど何となく、なんて医師とでは、天と地ほどの差がある。
それを最初から見極めるのは難しい。
契約してしまってから、分かることもも多いが、他のところと比べられないと、それすらも気が付かず、
在宅医療に幻滅される方も少なくない。
在宅医療は、医療の原点ともいうべき素晴らしい分野であり、とても大切な仕事である。
が、必要とされるがゆえにそこにビジネスチャンスがあることも否めない。
結果として、ビジネスの為に介入する不純物も混ざってきてしまう事は、仕方がないことかもしれない。
どんなに頑張っても、目の前の方々しか救えないのが在宅クリニックの限界でもある。
より多くの方が、よき在宅クリニックに巡り合い、救われるといいなと思う。
在宅クリニックの医師は、だからこそ、プライマリケア、緩和ケア、家庭医療などの教育を受けることも
とっても大事だけど、研修医の段階ででもいいので、急性期医療、回復期リハビリテーション、
療養病院管理、などを経験することが望ましい。
それぞれのstageでの患者さんの状態やそれぞれの医師、看護師、病棟、病院が、どういうことを思って、
どう感じて、どういう仕事そして、何が大変で、何が困るのか、そういったことを肌で感じでおくひつようがある。
それによって、地域医療の現場に出た時に、自分と違う立場の地域医療を担う方々の気持ちや立場が分かるので、
より円滑で良好な地域医療連携が取れるようになるのではないか?
こんな患者送りやがって、こんな時間に連絡してきやがって、なんで受けてくれないんだ、なんで退院させてんだ、
・・・・など、相手の事、立場、考えに理解が及ばないから、不満や不安、怒りなどが生まれる。
相手の立場を理解するのは難しいが、もし、過去にその立場に自分がいたことがあるのなら、想像にたやすい。
地域医療の専門性は、現場でも十分身につく。
それよりも優先すべきは、地域医療の現場に出た後には身に付けにくい、急性期、回復期、療養・生活期などの
それぞれの立場の、現場の経験なのではないでしょうか?
図らずも私の場合、消化器外科・一般外科の最前線から、回復期リハビリテーション、医療療養病棟、とすべてのstageを
経て、地域医療に携わることができたことが、なによりも財産になっていることを感じます。
だいぶ回り道をしてきたようで、これが、もしかしたら、正解の道筋だったのかもしれませんね。