2023年03月29日 こころ院長ブログ
在宅医療はもっと自由であるべきだ。
末期がん、緩和治療が在宅医療のすべてだ、メインだと考えている
医師は意外と多いのでは?
しかし、在宅医療は、もっともっと幅広い。
実際、当クリニックでは、末期がんの患者さんは、訪問診療の1割にも満たない。
患者さんを、状況や疾患で取捨選択しないと、必然的に、この割合になった。
おそらくは、これが、訪問診療患者さんの層なのだろう。
少なくとも、札幌市厚別区ではそうなのだろう。
緩和治療に興味がある、専門にしている、緩和治療が診療報酬が高い、など
様々な理由で緩和治療を専門に、メインに、訪問診療をしているクリニック、病院は
実はかなりある。
もちろん、必要とする人がいるので、それに応える人が必要である。
しかし、其の何倍もの数の他の疾患の人がいることも忘れてはいけない。
訪問診療は、緩和治療だ、在宅で最期を迎えるためのものだ、というのは、甚だ見識が狭い。
訪問診療は、
通院できない、困難、外来の待ち時間がつらすぎるなど。
独居、老々介護で在宅生活が不安
病状が変化しやすい、管理が必要
認知症だけどなんとか家で生活したい
できる限り在宅で生活をしたい、が最期までとはまだ考えていない
雪が降ると通院できない、けど、雪が解けたら通院したい
人と人の交流を通して、人間味ある診療を受けたい
いつ何時急変するかわからないので緊急往診体制を享受したい
近所に病院はあるが、意中のクリニック、医師の治療を受けるには通院できない
などなど
事情に応じて無限にその必要度の可能性はある。
末期がん、最期を家で、緩和治療=在宅医療という固定概念をもう卒業して、
訪問診療、在宅医療は、地域医療のただの形態の一つ、選択肢の一つ、なのだと
認識しなおすべきなのではないか?
在宅医療のハードルは、実はそんなに高くない。
必要な人が使えばいい。
特別なことは何もない。
通えない人を、その他の事情がある人を、おうちに訪問して、治療、診療するだけの
ことである。
それを担うのが、地域に密着した医療機関であるべきで、緊急時にもすぐに対応できないような
遠方の方は、当クリニックでは受け入れない、という社の方針は、そこから来ています。
遠方の方は、その遠方の地域の密着した医療機関が責任をもって対応する義務がある、と
考えているからです。