病床を持つ、という構想

2023年03月05日 こころ院長ブログ

しばしば、こころさんで入院させてくれないの?と聞かれることがあります。

開院前からの構想の中に、自分の法人に病床を持つというものがありました。

訪問診療を行う上で、一番困ることの一つが、入院先です。

在宅医療を希望していても、在宅介護が困難になる場合がある、疾患によっては、

在宅ではこれ以上は対処できないというものがある。

そういった時には、やはり入院するしかない。

しかし、自分の手元に入院ベッドがない場合、他院に依頼するしかない。

これが、受け入れ先がなかなか見つからない。そう言った経験は、在宅や回復期、

慢性期病棟勤務、診療所勤務、救急外来勤務などをしていた方なら、一度は

経験しているはず。

特に、コロナ禍になってからは、受け入れ先が見つからないのは、全国的。

外来で、6時間も患者さんを待たせて、治療しながら、電話片手に受け入れ先を

何軒も探し回ったこともありました。

自分の病院に、クリニックに病床があれば、とりあえず入院させて、それから、

必要であれば専門科に転院、診察依頼をかけたり、自ら治療したり、できるのに。

受け入れを渋るとかしないのに。

理想は常に高く持っています。

ですが、病床数は決められています。既得のベッド数を買い上げなければ、勝手に

入院させるベッドを作ることはできません。

また、その運営も現在の運営に比べるとさらに複雑で、難しくなります。

うまくいきにくいシステムになっているようなので。

現在のクリニックの様に、働きやすい環境にしてあげられるのか?

そもそも、建物を建てる敷地が、近くにないし。

なかなk、近々に進む話ではない。

ので、現在は、第2案を実行しています。

他力本願です。

厚別区のチームアップをしていくこと。

近隣の病院さん、新札幌豊和会病院、新札幌ひばりヶ丘病院、札幌北辰病院、

新さっぽろ脳神経外科病院、新札幌整形外科病院などと良好な連携を

結ばさせていただいております。

退院させたい、退院後の訪問診療を依頼したいという患者さんには、可能な限り

即日対応することをモットーにしています。即日介入も場合によっては致しています。

相談を受け入れるかどうかの返事は、極力、即日に早めに致しております。

総合病院や専門科で入院治療することに対する労力は、以前勤めていたので重々承知

しております。だからこそ、自分で入院病床を作ることのハードルの高さは、とても高い

こともわかっています。ですが、本格的な地域医療、在宅医療を展開することもまた、

大変な労力と人手を要します。片手間にできるようなものではありません。なればこそ、

分業という形がうまく機能すれば、とても効率が良いのではないでしょうか?

在宅で、外来で、専門治療が必要な場合、入院が必要な場合、連携室を通じて、

Dr  to Drで連絡させていただき、入院させていただいたりしています。

自分たちでできないことは、できる病院に依頼させていただき、自分たちでできることは、

できる限り自分たちでする。

厚別区が、大きなグループとなって、専門治療をする専門家、入院加療をする入院班、

在宅医療を行う在宅班などと役割を分けて、地域全体で、一人の患者さんを診ていく。

厚別区の医師会は、病院とクリニックは、とても横のつながりが良いなと感じています。

だからこそ、この様な構想が形をなそうとしています。

入院ベッドを持たないクリニックが、持っている病院の威を借りる、自社にバーチャルベッド

がある様な感覚で、入院が必要になったら、相談してお願いしようと考え、それでも、

不必要には相談しない様にしようと心に決め、在宅医療を、地域医療を行っています。

近隣の病院さんも、困ったらいつでも相談してください、と言ってくれますので、

非常に心強いです。

一つの組織で、地域医療の全てを網羅するのは難しい。法人は違えど、タッグを組んで、

地域を盛り上げていく、厚別区は、そういったチーム医療を実現できる場所なんじゃない

だろうかとも考えます。

金の病院もあれば、飛車の病院もある、当院のように歩であるクリニックもある。それでも

駒が力を合わせることで、盤上の戦いを制することができる。

金と銀と飛車と角の能力を併せ持つ、スーパー病院が一つあっても、盤上の戦は

勝てないこともある。

まぁ、一つの法人で、盤上の駒を全て揃えられたら、それは、それで完璧ですけどね。

何も、自社で、あれもこれも対応できるように、構想しているありとあらゆる事業を

実行に移さなくてもいいじゃなかろうか?もちろん、開院前の構想では、最大限、イメージを

膨らませるために、総合病院や回復期病床などの開設なども含めて、どれくらいのコストが

かかり、どれくらいの収益があり、どれくらいの人員が必要で、どこに作ったらいいか、

それにより、地域にどのような貢献ができるだおるかなど、構想したものです。

構想の中で、これをやってみたいな、というものをピックアップして、今よりもさらに良く、

を目指して、これからも、いろいろな形での事業拡大を模索していこうと思います。