2023年01月21日 こころ院長ブログ
在宅医療においての基本的な考え・・・・
、といってもこころ流ですが。
身体がだんだん、しんどくなる、認知機能が落ちてきた。
病院に通うのもだんだん億劫に、大変になってきた。
そう感じてきたら、在宅医療を考慮しましょう。
在宅医療を受けることで、住み慣れた在宅での生活がより快適に、少しでも長く
続けられるようになるかもしれません。今、すでにあきらめてしまっているやりたいことが
まだできる、またできるようになるかもしれません。
こころ流の在宅生活の考え方。
今の生活を振り返ってみることからはじめましょう。以下の事、思い当たりますか?
・体力、筋力が落ちてきているのか活動する時間、回数が少なくなった。
・腰や肩、首、膝、あちこち痛いところが出てきて、動きたくない。
・階段の上り下りがつらい。
・通院する病院が複数あり、その予定が込み合っている。
・通院先が遠くて行くのが億劫、大変になってきた。通うだけで疲れちゃう。通院介助が負担。
・飲んでいる薬が10種類以上あり、多いなと思う。
・薬の飲み忘れや飲み間違い、紛失など増えた。
・飲食や唾液でむせる、せき込むことが増えてきた。
・物忘れがふえてきた・
・老々介護、独居などで、生活に不安、もしもの時どうしようと不安。
・独居で、誰とも話すことが無くなった。さみしい。
・家族としては、離れている独居や老々介護の家族が心配。
・食事量が少なくなってやせてきた。
・糖尿病や高血圧などの持病が管理できない。
・末期がん、難病などで身体に不安がある。
・入居や入院は絶対にしたくない。何があっても家で過ごしたい。
・急性期病院や回復期リハビリテーション病院、地域包括ケア病院、介護老人保健施設から退院したばかり。
まだまだ、いくらでもありますが。
こんな上記のようなことがあれば、在宅サービスを導入してみては?
訪問診療、訪問看護、訪問リハビリテーション、訪問介護・・・・。
地域医療においては、諸派がありますが、こころ流では
不要な薬は、あまり必要が無い薬なら、止めちゃえば?薬を減らそう。
必要な薬、必要性の高い薬は、確実に飲もう。貼り薬で済むなら、貼ってみよう。
ポリファーマシーは、高齢者の大きな問題。薬の断捨離を行う事で、案外、元気になることもありますよ。
良い薬は確実に飲むことが大事。
リハビリテーションは、訪問リハビリを利用しよう。通所・外来リハビリと訪問リハビリは全然別のもの。
リハビリをするなら、訪問リハビリを断然お勧めしいます。
自分の生活空間、自宅および自宅周辺でのパーソナルトレーニングができるのは訪問リハビリだけ。必要な動作を
行う場所で訓練できるのは大きなメリット。送迎があるとはいえ、毎週、通うのは大変だし、体力と時間をつかって
しまう。外出の機会をとか、社交性をとか、それもリハビリです、なんて、お誘いを受けるでしょうが、どうせ外出
するなら、お買い物とか、パチンコとか、温泉とか、自分の楽しめるところに行きたいですよね。社交性については、
出先のリハビリ室やディルームで他人とどれほどの交流ができますか?人によっては、誰とも話さない、療法士やスタッフと
ちょっと話すくらいなんてことも。訪問リハビリなら、いつも同じスタッフが来て、1時間くらいマンツーマンで交流するので
社交性も維持できます。環境指導や介護指導もできるし、療法士と一緒に買い物訓練や尾で描く絵訓練もでき、安全に外出
することも可能です。
通院を減らす。専門医の診察や検査が必要な場合もあります。それでも毎月通う必要はない。訪問診療に切り替えて、
専門医と連携しつつ、通院回数を年に1~2回に減らしてもらうだけで、通院に使っていたお金や体力を生活に回せるように
なり、身体が楽になって、お出かけや趣味活動に回せるようになった方もいます。
実は、定期的な通院が、身体のこわさや活動性の低下を起こしている症例は、結構多い。通院を辞めるだけで、だいぶ元気に
なることがあります。
体の不自由な方は、通院にタクシーを使います。無料券の配布などもありますが、それでは足りなくなることも。そうなると、
金銭的にも苦しくなります。最近は、総合病院でも、1日で複数の科にかかることができず、同じ病院の別の科に、毎週別々の
曜日に通院されていたり、診察・検査の予約⇒検査⇒検査の結果を聞く⇒治療・・・・のように、一つの事が進むまでに
何回も通わなければいけないこともあります。そういった一つ一つが、若者には大丈夫でも、高齢者には
身体的、経済的にものすごく負担であるということを、外来担当の医師にもしっかり理解してほしいです。専門の病気だけを
診るのではなく、患者さんの生活・背景まで診る、そこまでやってほしいですね。外来診察の時は、患者さんも緊張して、
気合を入れてくるので、元気そうに見えますが、待合室、帰路ではもうぐったり、ぜぃぜぃ、
はぁはぁしていたりすることがあります。
認知症もほっておかない。進んでしまってからでは、治療は困難。進まないように、ケアすることが大事。ビタミン、内服、漢方薬
などの薬にだけ頼るのではなく、認知症リハビリテーション、社交性の維持、家族と他人と交流をする、
自分でできることを自分でなるべくやり続けるなど、できることを、少しでも認知機能を改善しそうなことを積極的にやる。
当クリニックでは、訪問リハビリによる認知症リハビリテーションも行っています。認知症が確実に改善しますというものではありませんが、
あたまのトレーニングや社交性の維持などを進めることで、認知症の改善、進行を抑えることを目指します。また、認知症の症状を
把握し、そのなかで、どのように現在の環境で生活してい行けば、より快適に、安全に生活できるかを一緒に考えていきます。
大事なのは、進んでからアプローチするのではなく、進まないように早めにアプローチするという事です。
まだまだ、うまく在宅医療・地域医療が受け入れられていないなと思うところが、退院時です。状態が重たく、在宅は大変だけど、希望だからと
前医を退院するときには、退院前、直後に訪問診療の依頼があります。
ですが、多くの場合は、退院時には訪問診療の依頼が無く、退院後、状態がさらに落ちてから、依頼が来ます。
これは、よくない。
入院していた、入院してリハビリをしていた人が、退院すると、その退院後2週間くらいが一番危ない時期の一つ。
急に、24時間看護、介護スタッフがいて、バリアフリーで広い病室から、バリアだらけの自宅に帰るのですから、色々困ったり、転倒したりのリスク
はとても高い。リハビリが毎日から、週0~2回、1回40~60分に減少してしまう。
それでは、ある割合の患者さんが、すぐに救急搬送、再入院、在宅困難で施設入所などの末路をたどってしまう。
私の考える理想は、退院時は、とにかく手厚く、例えば、訪問診療+訪問看護+訪問リハビリ+訪問介護などのプランを立てて、
その後徐々に、必要度が低くなったサービスを減らしていく、という消去法がいいんじゃないかと、10年以上前から提案しています。
その方が、事故の起こる確率は少ない。ひいては、本人のQOLの向上、医療費の削減、社会保障費の削減につながるのでは?
体力、筋力の低下を自覚しているが、まだ動けるからリハビリテーションはいらないよ、という話をよく聞きます。
NO。
体力や筋力が落ちて、動けなくなってからでは、リハビリの効果を得るのに時間と労力がかかりすぎます。
低下を自覚しているなら、まずはこれ以上低下しないように、あわよくば、改善するように、可及的速やかに、リハビリを受けるべきです。
体力の低下から考えられる事象は、転倒・骨折などの重症な怪我です。
なってからでは、寝たきりになってしまうリスクもあります。
骨折⇒救急搬送⇒入院⇒手術⇒」リハビリはするけど入院前よりもレベルダウン⇒家の帰れるかなぁ・・・・・
こんなことも想定されます。
医学は、治すよりも、ならないように、悪くしないようにということが大事です。
リハビリも同じ。
悪くしないように早めの介入を勧めています。
在宅医療のいいところは、医師、看護師と患者さんとご家族の距離が近いこと。
患者さんのホームにお邪魔して、2週ごとに会話、診察、看護します。
基本的に数人の同じメンバーでうかがうので、すっかり仲良くなります。
なかには、家族や友達がやってくるような感覚になる方もいます。
それがいいんです。
外来や入院時は、医師・看護師と患者、という役割が生まれてしまい、場合によっては、
距離が生まれてしまいます。
だから、言いたいことが言えない。相談したいことが相談できない。緊張しちゃう。
訪問診療では、多くの方が、来ることを楽しみにしてくれています。話したり、
笑ったり、治療だけでなく、そういった人間らしい活動も在宅医療では大事です。
だからこそ、こころ流の訪問診療、訪問看護、訪問リハビリでは、交流、会話、などを
大事にしています。診察中に、しょーもない話や冗談もいつも話してしまいます。
そんな日常の中で、素の状態を引き出し、なにか精神的、身体的変化が無いかを実は見たりもしています。
よくある、訪問して、聴診器をあて、処方して帰る。そんなのは、本当の訪問診療ではない。
個々の患者さんの個性を見て、考えて、状態を見て、生活を見て、それが、訪問診療なのではないかな。
滞在時間も長ければいいというものではない。患者さんに向き合っているかどうか。短くても、
向き合っていればよい。必要な時に、長く。
地域には、その地域に中核となる在宅医療・地域医療をになう病院やクリニックが必要です。
困ったらあそこに相談しよう。そんな場所があればいい。
当クリニックは、家で生活したいけど、何か困ったなぁ、どうしたらいいかな。教えてほしいな。
そう思ったときに、気軽に相談できる場所でありたい。
そのために、介護よろず相談室を設けています。社会福祉士、ケアマネージャーが、電話で、
対面で、ご相談に乗ります。
お気軽にご相談ください。