2022年12月30日 こころ院長ブログ
かかりつけ医制度につてい、淡々と政府は話を進めているようですが、
ちゃんと現場の現実を、現場の声を受け止めて進めてほしい。
どうも聴いていると、
見聞きしたこと、批判されたこと、噂されていること、そんな
曖昧な情報から、会議室で、これがいい、あれがいい、海外では
こうだから、日本もこうすべきだ、というような話になっているよう
な気がする。
開業医、診療所、クリニックというものの基本形をわかっていない。
大きなグループ組織のクリニックは、複数人の常勤医師やアルバイト、
研修医、非常勤医師などがいるが、大半の開業医は、院長一名体制
プラスα位で経営しているのが現状であろう。
その人員配置、医師の年齢も高齢化しているところもあり、
また、診療科の細分化やコロナ禍以降の中等症以上の患者さんの
病院受け入れ先を見つけることの困難さが続いていることも
一番手前での診療するものの負担をかなり押し上げている。
国の言ういわゆるかかりつけ医体制で、夜間や休日に患者さんを診療
するにしても、そこで自院で対応できないときの次の受け皿が、現状、
満床です、担当の医師がいない、その疾患は診られない、バイトの
当直医師しかいないので入院できません、微熱や風邪症状があればだめ、
今日は無理、など、紹介する側からでは、その真偽はわかりませんが、
しばしば、2−6時間の受け入れ先捜索が必要になります。
そこもしっかり所謂、地域の入院病床がある病院に対して、
診療拒否、受け入れ拒否をしないで、まず、かかりつけ医からの
相談は、引き受けなければならない、その受け入れに対して、
客観的な評価を受けなければならない、そういった話をしているのだろうか?
政府の話では、最前線の医師たちは、夜も、休日も土日も、常に、診察、往診?しなさい
というふうに聞こえますが、その医師たちは、いつ、休んでいるかな?
在宅医療における管理料をもらって訪問診療をして、24時間265日管理を
している在宅医のそれと、同じようなことを地域の方々みんなにするように、
でも、いきなり全員は無理だから、まずは慢性疾患のある高齢者から、と
なんだか適当にその場その場で、妥協案を出して誤魔化しているように聞こえるけど。
同等の管理をさせるなら、同等の管理料を払うの?そんなことしたら、医療費、
パンクしちゃうよ。
特に今は、外来の新しい若い開業医のなり手が少なく、ノーリスクで、低コストで開業
できる在宅専門医が増えてきています。
かかりつけ医の枠組みの中に、在宅専門医たちにも、地域貢献のために外来も、非常時の
受け入れもやってもらうように規定していかないと、外来クリニックだけでは、
時期に高齢化が進み、マンパワー不足になるでしょう。
かかりつけ医とは、行きつけの店、みたいなものなのではないでしょうか?飲食店なら、
お腹が空いたらまずあそこかあそこに行こうかな?台頭が悪い時、目が悪いならあそこの眼科に、
お腹が痛いならあそこの内科に、足が痛いならあそこの整形外科に。。。それが
かかりつけ医じゃないのかな?お腹空いている時に夜中にお腹空いたから、行きつけの食堂に
電話して今から作って、て言えるだろうか?休みの日にお腹空いたから、店長出勤して、
作って、なんなら、家まで作りにきて、出前して、とか言い得るだろうか?
それを医療だから、日本全国のお店に、休日もお店対応しなさい、出前・出張しなさい、夜中も
対応してあげなさいと圧力をかけている、そんな風雨にも見える。
それぞれのお店が、継続運営できるように勤務時間、開業時間を設定して、それに合わせて、
毎日ぎりぎりいっぱいの仕事をしているんじゃないのかな?
多くの医師は、患者さんのために、できる限り対応はしたいと思ってはいるが、現実的には、
精神的にも時間的にもマンパワー的にも無理なことは無理だったりする。
夜間、休日などの体調の変化に対する対応は、基本的には、急性疾患と考えます。1次−3次の
救急医療の範疇で、かかりつけ医とはまた別だと考えます。
地域における1次救急のあり方、充実を考えるべきで、内科・外科以外の他の診療科、在宅専門医なども
巻き込んだ、1次救急医療の充実とそこから先の受け入れ機能の充実、なんなら、急病センターの
増設などが必要で、かかりつけ医は、制度化するものではなく、何かあったら、あそこの先生に
相談する、という関係性の問題ではないだろうか。
今のままで行くと、医療のコンビニ化が進み、単純に、平常営業時間に自分の都合で受診できない、受診忘れていた、混んでいるから行きたくなかった、待ちたくなかった、普段から夜の活動が多いから、日中から調子が悪かったけど受診せず、夜中に心配になったから。。。などなど、閉場開業時に受診すべき患者さんが、安易に夜間や休日に医療従事者社を使役することにつながる可能性がある。
そもそも、そういった動労環境や条件については、勤労者が決める権利があるのではないだろうか。急に政府などの権力が、24時間対応しなさい、休日も対応しなさい、さもないと大変なことになりますよって、脅しのような、これって、所謂、パワーハラスメントのようにも見えます。だって、現場の医師たちは、そんな制度は、無理だろう、困るよって、
やりづらいよっていっているのに、会議室で話し進めちゃって、あとは決まったら、決まったんだからやれって、
やらないなら、罰則あるよ、やるなら、税金からお金あげるよ、なんて、ざっくりいうとそういうことでしょ。
これからの時代、医療においても、その他のサービス業においても、個人の利便性だけを追求してはいけない。
ある程度の秩序と不便さを享受しながらも、その中で最大の効率の良いサービスが受けられるようにしないと。
24時間いつでも、家から受診できる、家に見にきてくれる、専門医がすぐ診てくれる、病気をいつでも検査できる、
病気が見つかたらすぐに最先端手術が受けられる。。。。そんなことは、理想的なのかも知れないが、
それを実現するためにかかる人件費、設備費、その他の経費などを考えたら半端でない。
緊急でない人は、翌日、閉場開業時に受診する、薬はなくなる前にあらかじめ確認して予定通りに受診する、
仕事のある人は、仕事と両立できる受診先をあらかじめ調べておく、救急でかかるにしても地域の救急
受け入れ情報について確認しておく、救急時は多少待つことも仕方ないと考える、救急車を安易に呼ばずに、呼ぶべき
状態とそうでない状態を考える、
個人の便利さを求めて、通常外来では医療費数千円のところを、夜間往診診療で数万円使ってしまっていては、
医療費なんて持つ訳がない。
便利とはお金が、税金がかかるものだと理解すべきです。
かかりつけ医の本当の意味とは、患者さんと病院との良い関係性。困った時に、相談したら、なんらかの
治療をしてくれる、診断をくれる、治療への道を決めてくれる、だから相談に行く。
近くにあるから、薬が欲しいから行く、薬だけ出してくれればいいんだ、そんなのはかかりつけ医ではない。
街の中に、当たり前の存在として溶け込んでいるのが本当のかかりつけ医。
誰かが、かかりつけ医だと認定したり、書面で確認、契約してなる、そんなものではないんじゃないかな?
いまだに、コロナ初期に開業医が、発熱患者や風邪症状患者を拒否したことが問題だったというけれど、
病院の受け入れ拒否の方がひどかったでしょ。ましてや、国として、世界として、コロナに対して、
どういう対応をすべきだよって、はっきりとわかっていない状況で、こうした方がいい、こうしなさいと言う
明確な指示もなく現場任せにしておいて、批判はないでしょう。
ましてや、我々、心ある診療所の現場では、その不明確。不明瞭な相手に対して、手探りで目の前の患者さん
たちを治療してましたよ。実際、ファーストコンタクトするとうクリニックのような現場では、診療拒否は
できない、診た後に、自分達のでは治療の限界だと思っても、次のステージに紹介する段階で診療拒否にあう、
だからこそ、少しずつ、このケースは自分たちで見ることが難しい状態であり、次に紹介するにしても路頭に
迷ううはずだから、最初から診療所では診られません、という診療拒否をするクリニックが生まれて行って
しまったという現実もあったのではないだろうか?
平時の診療をおこなっている多くの患者さんの感染リスクを考えると、国がこうすべきだ、こうなら安全に診療
できますという明確な指針を早めに出さなかった、出せなかった、かかった時には感染隔離、営業停止、
それにより経営傾き倒産、なんてリスクだらけだった現実をもっと報道しないと、当クリにっっくは診療拒否は
しないと決めていたが、診療拒否をおこなったクリニックの全てが、ひどい医療機関だった、というのは、
少し乱暴な気がする。
政治が、迅速に、責任を持って、舵を切らなかったことが、大きい。
今、かかりつけ医制度と呼ばれるこの舵を、本当に、信念を持って、正しいと思って、現場の情報意見を
ちゃんと吸い上げて、切っているのかは、甚だ疑問を感じているのが個人的な感想です。