2022年11月08日 こころ院長ブログ
胃瘻・PEGは、安全に水分・栄養・薬を摂取するために作られます。
飲み込みに困難を要する処暑の状態で適応されます。
その前には、経鼻胃管という、鼻から胃まで入れるチューブで対応されます。
何方も同じこと。鼻から食道を経由して胃にチューブの先があるか、お腹の皮膚を貫いて、直接胃にチューブの先を置くか。経路の違い。
まぁ、経鼻胃管は、在宅には向きません。
意識が無い方ならまだしも、鼻から鉛筆くらいのチューブがずっと入っていると自分に置き換えて想像してください。苦しいねぇ。そして、目の前にいつもチューブがある、見え隠れする。邪魔だねぇ。ふとした時に、もしくは、寝ている時とか無意識の時に引っかかったりして、事故抜去されてしまう事があります。
なにかを投与中に抜けちゃうと、誤嚥のリスクがものすごく高いです。
再送入・留置するには、確実に胃の中にチューブがあるかどうか、レントゲン・造影剤で検査する必要があります。なので、レントゲンが取れる訪問診療ならまだしも、レントゲンが不可能なら、その都度、外来受診・入院が必要になります。
また、定期的に2週~4週間ごとに交換が必要で、やはり、入院か外来受診が必要になります。たいへんだ。
さてさて、こういったチューブによる栄養投与を経管栄養と言いますが、この状態では、飲食は禁止と誤解されている方がいます。
食べられるなら食べたらいいっしょ。
安全に、1日に必要な飲食物、服薬の為のルートであって、別に禁食ではありません。
ただ、経管栄養に至る嚥下障害があったということを認識する必要があります。
それが、少しでも食べることが可能なレベルのものかどうか?
そこに、言語聴覚士 STの評価が必要となります。
どのくらいの形態のものを、どのくらいの量、どのようにして食べることができるのか。
そして、その形態や量をあげていくためには、訪問リハビリテーションが必要です。
外来、通所リハビリでは、あまり、嚥下の訓練は行われていないようです。集中力も必要ですので、いつもの生活環境でリラックスして、普段に応用できる形態のもので訓練するメリットがあります。
実際に、退院時、禁食だった方が、在宅で、訪問リハビリを施行するうちに、常食を3食食べられるようになったケースもあります。その後、食べるための体力や希望なども加味して、
食事量を減らして、PEGを併用するなど、柔軟な対応をすることもあります。
食べるということは、人生の最大の楽しみの一つでもあります。
胃瘻・PEGを作ると、もう一生食べられない、食べさせてもらえない、という誤解から、心理的なハードルが上がり、必要としている人にPEGが入らず、痩せていく、脱水になってい行く、点滴をされる、無理に食べて誤嚥する、無理やり栄養を取ろうとするから食事がつらくなるなどのつらいエピソードを耳にします。
残念ながら、札幌では、もしくは日本では、まだまだ、訪問リハビリの重要性が理解されていません。そのなかでも特に、言語聴覚士の重要性が理解されていません。
事実、訪問リハビリテーションのステーションや事業所の中で、STが在籍している店舗は少なく、在籍していても、超積極的に嚥下訓練を実施している事業所は、その中でもかなり少ないと思われます。
そんな世の中に一石を投じるべく、当クリニックの事業所では、開設当初、言語聴覚士のみという異例の訪問リハビリテーション事業所を立ち上げました。最初は、ほとんど利用者さんがいませんでした。
徐々に利用者さんを増やし、現在は、2名の言語聴覚士が、ほぼフル活動に近いくらいの働きをしています。
訪問範囲は、厚別区限定(一部、厚別区近接の江別市、北広島市、白石区、清田区)(範囲を広くすると、移動時間がかかり、その結果、リハビリできる利用者さんの受け入れ人数がどんどん減ってしまうため)としております。
ご用命がございましたら、お気軽に、クリニックの社会福祉士、もしくは担当のケアマネージャーさんまでご相談ください。
たべたいのに食べられないまま最期を迎えていく、そんな、不運な方が一人でも減ってくれるといいなと思います。
生きることは食べることと見つけたり