訪問介護の問題

2022年09月03日 こころ院長ブログ

訪問介護、いわゆるヘルパーの問題。

いまは、空前の在宅介護、介護施設ブーム。

ましてや、病院でも介護士は必要。

そうなると、人手不足は必至。介護士はまさに売り手市場。

足りないマンパワーを、あちこちで取り合いに。

となると、もちろん、徐々にではあるが、介護士の給料や待遇は改善してくだろう。

それはいいことであるが、介護による介護報酬は変わらない。となると、大手のフランチャイズ、サテライトを持つ企業は、薄利多売でも寄せ集めて、利益を得ることができるが、個人商店や小規模な会社は、売り上げが上がらず、じり貧に。

給与上げ競争にも勝てずに、徐々にスタッフを奪われていき、倒産する。

大手も、大手同士での取りあい。

引き抜き合戦。

紹介斡旋業者は、最低勤務月数を超えるまでは、やめないように指示するも、その後は辞めてしまい、また、次の職場へ。だって、いくらでも募集があるんだもの。少しでも良い環境を目指し転所に転職を重ねる。旧日本の考え方ではなく、聞こえのいいキャリアアップのための転職と称して、渡り歩く。

もちろん、かなりのブラック企業も多数あり、そこに就労してしまい、違約金が発生しない機関までは我慢して働き、次の職場に希望を抱いての転職もある。

ともあれ、とにかく、介護士の定着率が低いようだ。

ヘルパーさんが、しょっちゅう変わることで、被害を受けるのは、利用者さん。

毎回、変わるたびに自分の好み、しきたり、してほしいこと、嫌なことを伝えなければならない。それが安定するまで嫌な思いをしなければならない。我慢しなければならい。何とかならないものか。

最近の日本人は、安易に転職しすぎる傾向にあるような気がする。終身雇用がいいという事ではないが、転職・離職のハードルが低すぎる。組織に加わり、一員として、チームとして、仲間として結集したにもかかわらず、ポンポンと己の気持ちや利益のみで少しでもいいところ、というものを目指して、ポンポンやめる。だって、我慢したくないんだもの。つらいんだもの。もっとお金ほしいんだもの。自分の思ってたのと違うんだもの。それが、会社や残るスタッフにどれほどの明和香がかかるのかも顧みずに。。。

およそ、自分の権利を主張する人は、他人の権利や迷惑については、無頓着な傾向にあるような気がする。迷惑をかける人はいつも同じ。迷惑をかけられる人もいつも同じ。そんな構図が生まれやすい。

介護士が、働きやすい環境、働き続け易いい環境、それは、単なる給与の問題ではない。労働時間の問題、休みを取れるかどうかの問題、業務の負担の問題、人間関係の問題、色々改善すべきことはあると思う。単純に給与を上げればいいというものではない。給与を上げるには、介護士の仕事に対する報酬を上げなければならない。つまり、利用者の負担額、保険からの支払額を上げなければならない。だって、介護報酬以上の給与は絶対に発生しないのだから。

また、介護士のスキル、サービスが不安定なことも問題である。つまり、人によって、サービスの質がおびただしく変わるという事。

時間内にできることをできる限りやってくれる人、時間内に自分のペースでできることだけ立ってくれる人、とにかく時間はいるけど仕事自体はのんびりしてそれほどしてくれない人。

料理が上手な人。下手な人。料理のメニューがいっぱいある人、そうでない人。自分の家庭の味を持ち込む人。料理の味はかなり大事。それで利用者さんの食事量や栄養バランスが決まる。本当は、誰が来ても同じような味とメニューが再現される必要がある。

当法人でも訪問介護や介護施設を作る案は、当初からある。その際に、やろうと思って言うことは、介護士の質の向上と安定化・平均化である。サービスの質が異なるとあの人がいい、あの人はヤダとなってしまう。

料理については、管理栄養士が、ある程度沢山の提供できるメニューを栄養バランスなども計算して考案し、実際に作る料理のレシピも栄養士または調理師などが考案し、それをもとに、全員が同じ料理を作れるように訓練する必要があると考えている。

衛生管理や環境管理についても一定の基準と研修、やり方を統一する必要がある。

家政婦と違い、スーパー介護士は必要ない。安定した、平均的な、計算できる介護サービスを、提供できるように訓練して、そのサービスを提供する義務が、介護をビジネスとする会社にはあると思う。

また、医学的知識が少な数偽ることも問題で、介護士に対して、医師・看護師から医療の、リハビリ療法士からの身体介護の方法などの指導・研修も本来は行われるべきである。プロとして要介護者の介護にあたるにしては、ちょっと準備不足なんじゃないかな?といいうヘルパーを見かける。利用者が、この人がいいと選べない以上、最低限度の平均的なサービスが提供できるレベルを安定的に保持する必要があるのではないだろうか?

今は訪問介護は、介護士の個人経験とスキルに頼りすぎているので、あたりとはずれ、というギャンブル性がある。

当たった人はいいが、外れた人は。。。。

ただでさえ、介護業界の現状は、満床ベース、かなりのブラックに近いグレーなくらいのパンパンの予定をつめての訪問介護で黒字経営をしているような現状だと思われる。当法人の方針としての、ホワイトな労働環境を提供する姿勢では、どう計算しても、赤字経営が必至。今のところ、すぐには参入はできなそう。もう少し考えて、計算して、黒字経営に持って行けつつ、維持可能なホワイトな労働条件を提供できるようであれば、参入も考えるが・・・・