2022年08月30日 こころ院長ブログ
高齢者のケアプランの作成にあたり、暗黙の常識を盾に、責任逃れ、楽をする、考えないようにする、型にはめる、そんなことをしていないだろうか?
高齢者には、認知症の予防、廃用症候群やサルコペニアの予防・改善、介護負担の軽減が必要。
これ常識。暗黙の常識。
そのため、高齢者は、家族の手に余るもしくは独居の場合は施設に入所、社交性を維持するために、廃用症候群を予防するために、おふろに入れさせるためにディサービス・ディケアに通わせる。だから、fそのプランを立てればいい。そう考えていないだろうか?
もちろん、ある場面では正解だが、必ずしもそうではない。
そこに、他のサービスとの組み合わせや本人の意向をくんでいるだろうか、本人の能力と潜在能力とを加味して考えただろうか?
社交場に連れて行ってもらうことを喜ぶ、楽しいと思う高齢者もいる。それならば、連れて行ってあげればいい。しかし、社交場に連れていかれることを苦にしている高齢者も比較的多い。ディサービスなどに行くものの、ただディルームに座って一日を過ごす、何やらレクリエーションに参加しているようで、ぜんぜんわからない、聞こえない、興味が無いので結局座っているだけだったり、レベルとは場違いのグループに入れさせられていたり、血圧やその他の病状の為、行ったもののおふろや運動を禁止されて、結局何もしないで帰ってきたり。適切な施設利用の評価がされているだろうか?
訪問看護、訪問介護、訪問リハビリ、訪問入浴、その他の在宅サービスの組み合わせで、もしも本人が少しでも家に痛いという希望を持っているなら、対応できないか、ちゃんと検討しただろうか?社交性の維持という事であれば、通所サービスと訪問サービスの優劣を検証したデータがあるだろうか?私はちょっと知らないのだけど。不特定多数の大勢と交流することができれば、それは社交性の向上のために寄与するだろうが、結局、行ったはいいが、スタッフと二言三言、あいさつなどをしただけで、帰ってきてしまうようなことがあるなら、訪問サービスで30分から60分、マンツーマンでみっちり交流している方がどれほどの社交性に寄与するだろうか?
介護負担の軽減、もちろん、完全に預けてしまえば、その時間フリーとなる。これに変わる介護負担の軽減は、おそらくない。だが、訪問サービスで、リハビリで能力を底上げすることで、負担は軽減できないか、リスクが軽減できないか、ちゃんと検討しただろうか?ヘルパーや看護が来ている間だけでもフリーになれる、そんな介護負担の軽減も考慮しただろうか?
入浴については、看護師・介護士による入浴介助、訪問入浴ではだめだったのか?お風呂=ディサービスと短絡的に考えて提案していないだろうか?
廃用症候群の予防・改善について、通所サービスで本当に期待できるのか?本人との相性ややる気、その施設の能力などをちゃんと知っているのだろうか?訪問リハビリをなかなかプランに入れてくれないケアマネージャーもいまだに多いが、なぜ?訪問リハビリについては、介護サービスを受ける患者さんには、全例考慮すべきだと考えている。もちろん全員にやるわけではない。だが、高齢者である以上、有病者である以上、リハビリテーションは必要である。まずは、全例、導入を検討すべき。その後で、今回は、とりあえずしなくてもいいかな、という理由を探す。現在、ADL自立していて痛いところもない、屋外生活も安定している、認知面もしっかりしている、通所サービス・通所リハビリテーションをを希望している、だから、今回は訪問リハビリはいらないだろう。明確ない有らない理由を検討する。それくらいしないと、これからの高齢化社会での医療費の削減、健康寿命の延長には寄与できない。できなくなったことをできるように、補うように、するリハビリだけでなく、できなくならないように、事故が起きないように予防するリハビリテーションの重要性をもっと理解する必要がある。
通所施設は、もちろん、マンパワーの問題もあるが、通所患者さん一人一人の状態や性格、ADLなどをしっかり理解して、できる限りの個々人の事情に合わせたリハビリテーションやレクリエーションを考案すべき。人がいないんだもの、集団リハビリしかできないんだもの、だから、体操しかしません、遊びしかしません、なんてことにならないように。人がいないなら雇えばいい、雇えないなら、他のスタッフの協力を仰げばいい。何とかするしかない。何とかする部分を、サービスの質を落とすこと、リスク管理を落とすことで補ってはいけない。
ケアマネージャーもこれからの時代、どんどん増えていく。群雄割拠の時代に突入していく。だとしたら、どれほどしっかりしたプランニングができるか、どれほど温かい支援ができるか、どれほど患者さんとの関係性を作れるか、どれほど医療機関や事業所からの信頼が得られるか、そういったことで、評判が立ち、選ばれるケアマネージャーになっていくのではないか。あのケアマネージャーは、適当だね、全然患者さんのこと診ていないね、全然知識が無いね、話が通じないね、と一度認識されてしまうと、その評判を払しょくするのはとても大変なことです。
人の心は、通じるものです。地域医療に対する熱い・温かい心を持ったプランニングを心掛けてもらえたら、きっと患者さんを幸せになれるんじゃないかな。