政府が進めようとしているかかりつけ医制度って本当にいいの?

2022年07月29日 こころ院長ブログ

かかりつけ医制度、というものを政府が進めようとしています。

無責任なコメンテーターやメディアがそれを取りあげ、さもいいことのように話しています。

デメリットについては、あまり語られていないようです。

はっきりさせておくと、日本の医療制度は、世界一と言ってもいいくらいいいものだと思います。ただ、税金がかかるというだけ。

政府は、税金を、予算をいかに削るかを考えており、国民の事を考えているわけでは、必ずしもないことを知っておく必要があります。

ここからは私見満載です。

かかりつけ医とは、制度化するものではないと思う。近隣の住民が、困ったときはいつもここに相談する、そんなクリニック・病院が、医師がかかりつけ医だと思います。

それを制度化する意味はない。

かかりたいところに、かかりたいときにかかれる、其れが最高のかかりつけ医です。まぁ、お医者さんんも人間、お休みの時もあります。そういったときは、救急病院に相談するか、お休みが明けるまで待つしかないのですが。

かかりつけ医制度は、欧米でも国によって、異なるようです。

かかりつけ医自体は自由に選べるようです。ですが、洗濯しているかかりつけ医以外は、初診はできない、もしくは、かかりつけ医以外に受診すると、追加料金がかかったり、全額自費負担になったりと、実際に患者さんが、支払い医療費負担がかなり増額されるようです。

また、予約制であることもおおく、今かかりたいのに、かかれるのは数日後、なんてこともあるようです。

日本の医療制度の、今日、今、この瞬間にかかりたい、という医療制度はとても患者さんにやさしい。万が一混んでいたら、隣のクリニックに飛び込みでかかることもできる。それも保険診療で。

かかりつけ医制度では、登録したかかりつけ医以外には、ペナルティなしに自由にはかかれなくなるようです。

これって、政府やメディア、コメンテーターが、強調して語っているでしょうか?

せっかくの自由な医療を手放して、制度化して大丈夫なの??

今日、今、かかりたいから別なクリニック、病院でかかりたいとおもったら、全額自費負担になるかもしれませんよ。そのとき、もし、CTやMRI、内視鏡などの画像検査が行われたら、1回受診して数万円の医療費を自費で払わないといけなくなるかもしれません。そうなると、検査はしないで、という患者さんが増えそう。検査なしに、診察だけで、という受診が増えると、当然、診断ミス、診断の遅れにもつながる可能性があります。

かかりつけ医には、患者さんが来ようがこまいが、月額一人いくら?みたいな感じで包括した報酬が入るようです。患者さんは、基本、無料?か、保険診療?になるのかな。マルメになるので、頻回にかかるとお得という感覚ですが、介護制度にもありますが、マルメは危険です。予算上、一定額と決まっているので、計算しやすく、予算を削減できますが、何をしてもしなくても一定額ということは、ほぼ、間違いなくサービスの質の格差が生まれます。一生懸命やってくれるところはもしかしたら少なく、やらなくてももらえるなら、できる限りのサービスはしない、ということになってしまうのではないでしょうか。医療サービスの質は、日本決して悪くないはずですが、悪くなってしまう事が予想されます。

やった分だけ報酬があるからこそ、しっかりしたサービスを提供するわけで。国民皆保険、保健医療、自由診療は、日本医療の優れたところだと思うので、かかりつけ医制度は、考え直した方がいい。

命や健康がかかる部分に、お金をケチったらダメだよ。安心してかかれないでしょ。

仮に、試合に勝っても負けても一定額の給料が保証されていたら、一生懸命選手は練習して、勝とうとするでしょうか?掘っても掘らなくても給料保障されていたら、炭鉱夫は石炭を掘ってくれるでしょうか?全員合格するなら、受験勉強必死に受験生はするでしょうか?マルメは危険だと思いませんか?

そもそも、クリニックが、全部ではないにしろ、コロナ禍からずっと、実質赤字と過労を抱えながらかかりつけ医として、地域医療として貢献できるようにずっと必死にやっていたのに、さも、クリニックが診療拒否して、手伝わなかったというような話をテレビなどでコメントしたり、政治家が話したりと、非常に心外です。どこの業界だってそうです。わが身可愛さに保身する人、お金儲けに執着する人は、ごまんといる。そんな中でも、常に、熱い想いと信条をもって、真摯に取り組んでいる人がいる。そんなの当たり前。制度化したって、そんなん変わるわけがない。中身の問題だたら。

医療費は、人口が増えればかかるもの。そこの無駄な費用は削減すべきだが、大事なものは残すべき。オリンピックにお金かけるくらいなら、もっと国民の生活の基盤をなす、教育や医療、公共事業に税金を投じるべき。いまだにオリンピックを誘致したら国が儲かるとか、考えているのはどうかと思う。

アスリートファーストで、とよく言うけれども、国としては、アスリートも国民だけど、まずは、国民ファーストで考えてほしい。これだけ、税金が足りなくなって借金が膨らんでいる中で、なにに税金を使うのかを真剣に考えてほしい。

ちなみに、当クリニックは、開院当初から、いわゆるかかりつけ医というものを行っています。在宅診療の方はもちろん、何でも診察して、24時間365日対応しています。外来患者さんまで24時間365日対応はできません。それをするなら、医師が今の3倍くらい必要になりますが、その人件費を賄うだっけの診療報酬は、いただいておりません。外来患者さんも、基本、診療科にこだわらず、何か身体で困ったことがあったら、近隣住民の方は皆さん相談に来てくれます。診察したうえで、ここで解決できそうなことがあれば、解決するお手伝いをさせていただいております。また、これは、何科の疾患で専門診断と治療が必要ですということになれば、連携病院もしくはそれ以外の病院・クリニックにご紹介させていただき、症状改善のお手伝いをさせていただいております。そのほか、実際は医療のことにとどまらず、日常生活の事や家族の事、ペットの事、その他の事など、様々な悩み事や相談事について、及ばずながらアドバイスさせていただきております。当クリニックが目指すのは、古き良き時代の田舎の診療所のような、よろず相談できるような診療所です。現代は、医療も進歩し、各科各分野、専門性が進み、素晴らしい量が提供できる反面、専門家が増えすぎて、一人の人が症状を改善してもらうのに、いくつもの科を、病院を受診しなければならなくなってきています。特に高齢者には、通院、受診自体が負担なのに、1週間にいくつもの通院受診を抱え、其れだけで疲弊しています。

実際、訪問診療開始と当時に体調が改善する方もいます。ひとえに、通院で疲弊するので体調を崩しており、実際の疾患の症状は、見かけ上酷くなっていたためで、通院がなくなっただけで、一旦症状が改善される方もいます。

薬に頼らず、動作改善や環境改善、生活習慣改善、引っ越しなどをすすめることで、症状が軽減することもあります。

靴を履き替えさせただけで、腰痛や下肢痛が改善した方もいます。

病気を診るのではなく、病気と患者さん自身を診る、そこに、かかりつけ医の本当の意味があるのではないかと思います。

いつも診ているいる人が、今日はなんかいつもと違う、そう気がつけるくらい親密に地域に溶け込んでいることが大事なんではないでしょうか?

仮に制度化して、登録されても、普段元気で通院されていない方は、ほとんど初めましてであり、かかりつけ医と言われても、特に前情報もなく、単純にはじめましての初診になります。

政府が、国が決めたなら、国民なので、それに従うしかないのですが、決める前の今なら、断固反対します。