2022年07月03日 こころ院長ブログ
クモ刺咬症 arachnidism
クモには毒蜘蛛という概念は基本的にはない。もともと、昆虫を捕食するときに毒を入れるので、概ねすべてのクモは、毒蜘蛛ということになるそうです。
いわゆる、毒蜘蛛 かどうかは、人間の皮膚をも通せる毒牙による。ほとんどのクモの毒牙は、長くも強くもないので、人の皮膚を通せない。
また、例えば、ジョロウグモの毒は、グルタミン酸であり、昆虫にとっては、神経伝達物質だが、人は、神経伝達物質はアセチルコリンなので、万が一刺されても影響がないなど、誰れにとっての毒なのか、最も毒が強いクロコケグモの毒性は、ハブ・マムシ以上で、テトロドトキシンの1/100、ボツリヌスの1/10万であるが、クモ1匹当たりの毒の所有量が少なく、50~500匹に同時に刺されないと生命の危険はないのだそうです。
セアカゴケグモ (日本でも時々発見報告がありますが、基本的にはいなかった外来種。)
ゴケグモ(後家蜘蛛)は、交尾のあとに、オスを食い殺していいしまうので、巣にはメスしかいないので後家を呼ばれているそうな。クモ毒により、末梢神経からAch、NEが放出され、筋緊張亢進、震え、麻痺、最悪の場合、呼吸停止を引き起こすとされ、見つけても、ぜったいにさわったり、ちょしたりしてはいけません。ゴケグモ刺咬症は、刺された上流を縛るとよいとされます。ゴケグモには、抗血清がありますが、アナフィラキシーや血清病のリスクがあるので、治療の選択に悩みますね。痛みには麻薬または麻薬系鎮痛薬が良いそうで、二次感染予防に抗生剤、破傷風トキソイドを使用することがあります。
ちなみに、日本のクモ刺咬症のほとんどは、カバキコマチグモだそうで、他にオニグモ、セスジアカムネグモ、ヤマヤチグモ、フクログモ、オオヒメグモ、アシダカグモなど。
カバキコマチグモの刺咬症は、5月~8月に多い。特に6月。ススキなどのイネ科の植物に葉を折り曲げて巣を作るそうです。
発赤、腫脹、痛み、痒み、リンパ節炎、吐き気、頭痛、胸部不快感などが出たりします。
痛みと痒みは2~4日くらい続くそうです。
カバキコマチグモには、基本的に対症療法しかないそうです。
刺された部分より上流を縛る必要はなく、抗血清もないそうです。
夏の時期に、これから、キャンプ、ハイキング、山登りなど、outdoorで山や森、林に入っていく人が増える、菜園や遊びなどでくさっぱらをかき分けるなどで、虫刺咬症の頻度は挙がってきます。
当クリニックにも、ダニ咬傷、蜂刺傷、蜂窩織炎などの患者さんが、ちらほら受診されるようになっています。
注意喚起と共に、今一度、教科書、百科、図鑑、インターネットなどで、各疾患の情報やどんな虫に気を付ければいいのかな?というのを勉強してみました。
備忘録がてら、ブログにアップさせていただいたのは、そういったことです。
中毒については、前から、興味があり、いつか勉強しようと思っていたので、10年以上前から手元に ”中毒百科” を診察室の棚に置いてありました。それを、空き時間にぱらぱらと読みつつ、少しでも知識、雑学を頭の隅っこに入れようとしています。
大人になるとなんで、虫が苦手になるんだろう?子供のころは、素手で触れたのに・・・。今は、恐怖すら覚えます。
皆さんも、虫刺され、虫咬まれにはご注意ください。