2022年06月26日 こころ院長ブログ
政治家は、本当に偉そうなことばっかり言って、現場が、国民が見えていないことが多い。
医療制度、介護制度においいては、特にそう。
かかりつけ医制度化・・・・?
聞こえはいい。やりたいことは、分かる。けど、現場の事を全然わかっていないし調べてもいない。専門家的な人を取り入れてもその人が、現場を分かっていなかったり、偉い政治家や官僚その他の顔色を窺っていては、改悪しか起こらない。
コロナ禍で、地域のクリニックがさも活躍していないような認識をされているようで。
だから、救急病院が満床になって、救急車が行き場がなくなって、国民が困った。
かかりつけ医が、診療・治療しないから、対応しないから・・・。
かかりつけ医は、24時間265日、患者に対応すべきだ。
そうすれば、救急の外来は疲弊しない。
それを制度化しよう・・・。
協力する人は、手を挙げて、認定する。
協力できない人は、かかりつけ医ではない。
ざっくりとそんな感じ?
何を言っているんだか。
まず、救急車で運ばれる状態以外の人の大半を対応してみていたのはクリニックだよ。身の危険も顧みず、残業も煩雑な手続きもしながら、発熱外来の為に改築したり、道具をそろえたり、人手を増やしたりしながら、できる限り水際でコロナを対応しようと努力していたよ。(していないところもいっぱいあったけど、それは、入院受け入れ病院だって、同じでしょ)
だからそ、ぎりぎり医療崩壊しなかったんでしょ。
在宅医療では、24時間265日に対応は、ずっとしています。でもそれって、医師一人当たり60人~150人くらいの限定的な患者さんに対してだから可能なシステムです。
外来患者さん、地域の患者さんのかかりつけ医となると、その数は1000~10000人など、多岐にわたります。
その人たちの24時間365日対応を、クリニックの医師は、常勤医は、1人~2人のところが多いかと思いますが、やれと?
あれ?医師の働き方改革?進めるんじゃなかったっけ?勤務医は、当直したら、翌日、日勤はしなくてもいい、当直のバイトも制限される・・・・。
クリニックの医師は?
いつも一人で日勤、残業していて、年に数回、医師会の休日当番をやっていて、さらに、24時間265日、コンビニみたいにかかりつけの方の対応をしないといけないの?
クリニックだけ、ブラック企業になってますけど?
人を増やせ?ってことなら、その経費はどこから出てくるの?お医者さん一人増やすのって、ものすごく経費かかるし、そもそも、なかなか人材が手に入りませんけど?
そういったことが大変だから、夜間、休日当番、ってものがあるんじゃないの?救急病院は、救急体制を整えるための補助金や加算制度があるんじゃないの?
病院の方が、断然、医師や看護師の数が多いんだから、クリニックの方が断然少ないんだから、そこのところ、つじつまが合うように制度考えているのかな?
コロナ対策の失敗部分をクリニックやかかりつけ医に、責任転嫁しないでほしい。
現場は、その都度、命がけで、命を削って、2~3年、休みなく頑張ってきたから、今があるんでしょうが!
国民の安心安全なかかりつけ医制度を作ります、みたいな自分たちは、すごくいいことをしようとしていますという、人気取りみたいなことを提案して、現場の苦しみも考えずに、現場の反対があったら、実行できなかったのは、現場の医師たちが反対したからで、我々は、実現したいと思っていますというような、国民の怒りの矛先は医師会にぶつけさせようなって、考えていませんよね?
週40時間労働、到底医師には適応できないんだけど、ここからさらに、24時間265日の救急対応をクリニックの医師に課す、というのは、どの観点から、物を言っているのかな?
空いているから、自分の都合がいいから、休日に夜中に受診する、コンビニ受診が多発するのが目に見えている。
何時でも受診できるということは、薬局も24時間265日開店していなければならい。
その人件費、どうやって賄うの?
余程の緊急じゃないと受診できないようなシステムにしないと、ダメでしょ。
本当に、かかりつけの人以外はかかれないようになっちゃったら、日本の、近所、その他の病院でも自由にかかれる素晴らしい医療体制のいいところが無くなっちゃうけど。
かかりつけ医制度で、24時間365日の待機を強いるということは、その管理料や待機料を、税金と患者さん負担で、支払う必要が出てきます。最低限その報酬で、医師や看護師を増やさなければ実行不可能ですから。
そうだとして、すべてのかかりつけ医にそれを支払う事の医療費の増加、それに見合うサービスが受けられるのでしょうか?
毎日発生するかわからない夜間診療を待機するのに、あまたのクリニックにその待機費用を提供することが、医療費をどれだけ膨大に増やしてしまうか。
それよりも、夜間は、安心安全に、それほど待たずに受けられるような救急外来と夜間急病センターの充実にコストをかける方がいいのでは?
夜間に受診したい人が、急を要する病態の人が、市内に100人いたとして、それを地域で500か所くらいの診療所で待機して待つよりも、1~3か所くらいの救急外来・夜間急病センターなどで、医師看護師の数を増やして対応する方が、人的資源、物・時間的資源を有効につかえるのではないかな?
便利や安心を追求すれば、きりがない。そこには膨大なお金と人とモノ、エネルギーが必要になる。
今の日本では、夜間でも休日でも、どこかで医療が受けられる体制がある。
より近くで、すぐにでも、いつもの先生に診てほしいという願いはわかるが、それを追求していった先には、いつもの先生、看護師に休みなく死ぬまで働けと、強要することにつながるかもしれない、そういった想像力があるのだろうか・・・、政治家さん、お役人さん。
待機をしている間は常に緊急電話を持ち、電話が鳴ったらすぐに出られるように、出動できるように気を張っています。もちろん、お酒も飲めない。クリニックから、遠く離れることもできない。映画も安心して見られない。今どきは、クリニックに併設された家に住んでいるわけではなく、家は、クリニックと離れたところにある院長も多いんですよ。患者さん一人見るたびに、家から着替えてクリニックへいき、診療が終わったら、帰宅して、また一人来たら、同じことを繰り返す。そんな毎日、あなたなら、できますか?っていう話です。