在宅クリニックがやってはいけないこと

2021年12月16日 こころ院長ブログ

現在在宅・訪問診療を担うクリニックの社長として、もと、訪問診療を依頼する側として長年従事した経験があるものとして、どちらの立場も環境も、十分理解しているものとしての意見ですが。在宅クリニックがやってはいけないこと、やるべきではないことがあるなと思います。そういうことをしていると、地域医療、連携が取れなくなる、とりづらくなるし、照会元の病院も患者さんも困る、危険が伴う、在宅医療の敷居が高くなるなぁということがいくつかあります。また、そうすることで、在宅クリニックがやっていけなくなる結果につながるかな、と思うことがあります。 ひとつは、なんでもかんでも無条件で受け入れること。一見、断らない、何でも診る、というとすごく良いイメージや頑張っている感がありますが、そのような体制では、いずれ、ぼろが出る、自分たちが苦しくなる、最終的にサービスの質が落ちて、患者さんに迷惑が掛かる。なので、ここはダメという一定のわかりやすいお断りラインを決めて、こういう理由で引き受けられないと、こういう条件がクリアできるなら引き受けられますと明確に相手に伝えるべきです。当クリニックだと、まずは、サービスの質が保たれる診療範囲、距離が想定以上の場合、往診などのサービスの質が保てないので、お受けしていません。また、精神科の訪問看護が介入している場合、当クリニックの訪問診療での治療方針と相性が悪く、サービスの質が保てないので、内科訪問看護に変更できない場合は、お引き受けしていません。あとは、訪問診療サービスに本人、ご家族が同意されていない場合は、お引き受けしていません。  もう一つは、返事が遅いこと。回復期リハビリテーション病院や療養病院などでもよくありますが、依頼に対する返事が遅いこと。判定会議やなんやかんやで、相談してから、数日、ひどい時は1~2種間以上返事が来ないことも。その間にも、患者さんの人生は、日1日と過ぎ去ってしまいます。判定会議なんで、いらない。今受けられる余力がいくらあるのか、受けられる条件をクリアしているのか、それさえ把握していれば、診療情報もらえば、YES窩NOか、即日、もしくは翌日には判断できるはず。断るなら、早くしてくれないと、次の相談もできない。こういったことをしていると、次回も相談したいなとは思えないですよね。  もう一つは、診療開始が遅いこと。当クリニックでは、可能な限り、退院当日、もしくは翌日に介入を開始しています。よく聞くのは、診療開始は1~2週間後からなので、薬多めに持たせてくださいという連絡。退院しちゃああったとは、調子悪くなったら誰が面倒みてくれるの?回復期病棟を退院したのだだとしたら、調子悪くなっても、再入院できないシステムなのにね。在宅クリニックは、少しでも空白時間が少ないように、迅速に初回対応をすべきです。  ターミナルステージだからと言って、最初から、もう何もしません、何もしてあげあっれることはありませんと決めつけないこと。薬などでは限界があるが、看護や介護、リハビリなどで、少しでもQOLを上げることはできるかもしれない。薬でも何か少しでも症状を和らげる方法はあるかもしれない。常に、最期まで、何かしてあげられることはないかと考えること。なんとなく、訪問して、DO処方だけするような診療をしてはいけない。  様子見る、経過観察ばっかりで、往診に行かない、行きたがらないようなのはダメ。いつでも、往診に行くよ、というスタンスは、在宅ではとっても大事。とても心理的・精神的負担はあるのかもしれないけど、気持ちはとっても大事。結果的に、経過観察となってもそれはイイ。往診に行く、という選択肢を常に手元に用意しておかないといけない。  まぁ、いっぱいあるんですけど、一般的な対外的な感じのことで、在宅クリニックがやってはいけないこと、とってはいけない姿勢などを個人的な見解として、羅列してみました。新たにクリニックを立ち上げる方、立ち上げ方、なんかうまくいっていないなと感じている方の何らからの一助になればと。