医師の働き方改革、本当に進むのかな?

2021年09月10日 こころ院長ブログ

医師にも働き方改革の波が来ようとしています。ドラマですが、ナイトドクターなんてのも一つの手ではあります。ここで問題があります。今現在、通常の給与+当直料(常勤医はかなり格安)などで、24時間365日の救急医療・入院医療・地域在宅医療が賄われています。これに、一般業種と同じような働き方改革を適応しようと思えば、医師のマンパワーは単純に2.5-3.0倍くらい必要になるかもしれません。一般常勤勤務者が行う非常勤の当直業務は、どういう扱いにするのかな?また、その人件費をどこから捻出するのか?税金を投入してくれるのか?おそらく、そんなことはない。だとしたら、病院の売り上げ、つまり医療費から払うしかない。ということは、国民の支払う医療費がかなり上がってしまう可能性がありますね。今のままのマンパワーでおそらくどこのクリニックも病院も、ぎりぎりなはずです。単純に同じ業務をこなすのに、そんなに雇えるはずがありません。そもそも、医療は、医療従事者の熱意と善意で支えられています。業務の身体的・精神的過酷さと労働時間を考慮すると、圧倒的に低賃金で、人手不足であると思われます。病院は、楽そうで儲かってるねと、ネット・SNS上などでも言われていることがありますが、決してそんなに生易しいものではありません。どれだけ大変かは、知ってもらう必要はありませんが、楽しているな、得しているな、儲けているな、と思われているのなら、ちょいと心外ですね。医療従事者の多くは、自分の生活や人生をある程度~かなり犠牲にしてでも、純粋に患者さんのために、頑張っていますから。さて、脱線しましたが、働き方改革、どうするのか。方法はいくつかあるのかもしれません。単純なのは、診療報酬を上げて、人を雇えるようにする、人を増やして配置している病院・クリニックには補助金を出す、医療従事者の負担を減らすために、今までは当たり前のように享受できていたいつでも安心安全な便利な医療サービスの内容を少し諦める(本当の救急な病態以外での時間外診療ができなくなるが、その分、救急当番以外は、最小限のマンパワーで回せる)・・・などなど。簡単に、働き方改革とは言いますが、それを解決するための人材と財源の確保のことまで、行政が対策してくれていることを願います。コロナ禍で圧倒的に医療従事者の負担が増えたこの2年弱、もちろん医師を含めた医療従事者も働き方改革の対象になるべきだと思いますが、医療サービス・医療経済・病院運営などとの両立をどう図っていくのかは、思いのほか難しい問題だなと思います。