2021年05月18日 こころ院長ブログ
訪問リハビリは、在宅医療の大事な治療手段と考えています。私は特に、リハビリテーション医でもあります。皮膚科医が軟膏を使う、眼科医が目薬を使う、脳神経外科医が脳神経の薬を使ったり手術を行う、循環器科が循環器薬をを使う、リハビリテーション医がリハビリを使う、どこが違うの。リハビリテーション医が、訪問リハビリを勧めるのは、同然ですよね。ですので、当クリニックの訪問リハビリでは、とにかくリハビリテーションを治療選択肢としてかなりの比重を置いています。ケアマネージャーさんにしてみたら、あそこの先生はいっつも、すぐに訪問リハビリを勧めてくるって思うかもしれませんが、リスク軽減、QOL向上、症状緩和などに、重要であり、有効性が高いと考えている方に勧めています。当クリニックに訪問診療を依頼するときには、診療プランにリハビリを選択肢として持っていることを、認識しておいてほしいです。ただ、やみくもに勧めているわけではありません。リハビリテーション医として、リハビリをした方が元気になる、症状が緩和される、リスクが軽減される、など利点があるから、ケアプランに入れてほしいとお願いしているのであって。ケアマネージャーさんの中には、訪問リハビリを頑なにプランニングしてくれない方もいます。その方には、その方のプランの信念や方法、しがらみなどがあるのでしょう。ケアプランの専門家ですから。それでも、在宅医療の専門家としてのリハビリテーション医が、診療・治療に必要なので入れてほしい、と願っているサービスに対して、といあえずいらない、今は必要ない、などといわれると、ちょっと悲しいです。どういう想いで、意図で訪問リハビリ導入を提案しているのかを、汲んでくれるとありがたいです。訪問リハビリテーションというサービスに対する、知識や認識、経験、想いなどの相違なんだと思います。いつも、本人、家族の方が、経済的な面、心情的な面、その他、の理由で訪問リハビリテーションは、今は必要ないです、ということであれば、介入のメリットとデメリット、介入したときのこと、しなかった時のことの情報を開示したうえで、すぅっと引いています。転倒や誤嚥などの事故は、別にリハビリをしていたから起きないものではありませんが、起こった時に、あの時ああしていれば・・・というタラレバはいつの時もあります。リハビリテーションは、ある種の薬のように絶対に必要なものではありませんが、することで、様々な効果が得られます。通所リハビリやディサービスのディとも一線を画します。自分の家で、部屋で、いつもの環境でのリハビリは、他のサービスでは、代替できません。また、担当療法士が、60分まで、しっかりみっちりリハビリしてくれます。今のご時世なら、不特定多数に接触することがなく、感染リスクも極力軽減できます。訪問リハビリ療法士は、1日4~5件しか担当しないため、患者さん一人一人に想いをしっかり寄せて、計画を立て、その結果を反芻して次に生かすことがしやすいと考えます。集団リハビリと個別リハビリでは、そもそも目的が異なります。似てもいないし、異なるものです。若者ですら、トレーニングをしないと、引きこもっていたりすると、歩くときにふらついたり、疲れやすくなります。高齢者が、持病がある方が、リハビリをしないで、日々の生活だけで、主に部屋の中で過ごしていて、筋力、体力、認知力が落ちないわけがありませんね。リハビリテーションは、ほとんどすべての高齢者に必要なものです、ただ、その必要度が、異なるだけです。元気な高齢者は、自主トレーニングでも、活動的な生活でも体力維持を、自らリハビリをすることで維持していたりします。それができていないな、難しいな、すでにかなり身体能力・認知能力が落ちているなと判断したら、訪問リハビリテーションを勧めています。様々なバイアスがかかるため、エビデンスなんてほとんど存在しませんが、確かに、ちゃんとした訪問リハビリを治療プランに入れることで、通常の治療だけでは・・・という方が、すごく元気になったりすることがあります。ここで、大事なのは、訪問リハビリテーションの質です。回復期、在宅でのリハビリをみてきましたが、リハビリテーションの質は決して均一ではありません。訪問リハビリに限らず、訪問診療も訪問看護も、すべてにおいて、ただサービスが入っているだけ、サービスを入れたから大丈夫ではなく、その事業所や担当者により、天と地ほどの質の差があることがあります。そこら辺を見極め、セカンドオピニオンも視野に入れておく必要があります。