在宅医を増やしたいのはわかるけど。。。

2023年12月15日 こころ院長ブログ

国として、道として、市として、在宅医、訪問診療医を増やしたい、需要に対する

供給ができるようにしたいという思いはわからなくもない。

が、いつものやり方が、道もあんまり私は気に入らない。

新規参入する訪問診療医を、若手を増やしたい。

だから、現役の訪問診療医から指導や研修が受けられて、

どういう風にやったらいいのか教えてもらえるシステムをつくるのに

協力してほしい。

それは、わかる。

そしてそういう依頼に協力できるかと聞かれた。

勤務医をしていたら、在宅医療や訪問診療についてなんて、なかなか具体的にわからないので、

どうしていいかわからないから、二の足を踏んでしまう。

あらかじめ、どういう感じなのか、どういう風にしていけばいいのか、急に院長、経営者になるとは

どういうことなのか、など教えてもらえる先輩が、地元にいるとは限らない。

直接、交渉するのもハードルが高いので、医師会や道や市で、あっせんしてくれれば、

ハードルが下がる。

そういうことなら協力するのはやぶさかではない。

札幌市医師会での訪問診療同行研修の協力にはすでに応じているので、既にやっているといえば

やっている。

地域の包括センターや保健所、多職種との連携を密にしなければならない。それはそうだ。

それは既にやっている。

災害の時に対応してほしい。それもやっている。が、道や国の指定の書式やプラン通りの計画を立てているか

といわれると、していない。

自分たち独自に、自分たちのカバーする地域の災害医療をどうすべきかは、すでに、社内で話し合っている。

準備もしている。

これもしている。

問題は、新規参入の在宅クリニックの24時間待機、往診、もしくは土日休日の対応のバックアップなどが

できるかどうか?ということ。

これって。。。。

そもそも、24時間の待機、365日の対応、これがネックで、不安で、新規参入を悩んでいるのだという話。

それはわかる。

私も、最初、一人で365日24時間待機を、3年以上していたので。

もちろん、頼まれれば、夏休みを取りたいので、とか、急な病気でとか、そういうことなら、条件次第では

協力することもやぶさかではない。が

常時、週3回は待機をしたくない、土日祝日は休みたいのでだれか代わりをしてほしい、といわれても、

それはできない。

こちらの法人だって、そもそも、24時間365日の待機対応をしているし、それをどうにかするために、人材を確保したり、

人件費を払ったりしているわけだし。

自分たちのところ待機、対応は自分たちで、さらに、あtらしく参入する人たちの分もカバーしてあげてって、

もし言っているのなら、鬼だね。

新規参入したクリニック同士が連携を組んで、お互いに、交代制を組むのがベスト。

そもそも、他院の患者さんの情報を知る術を確立しないと。

それぞれが紙カルテだったり、別々の電子カルテだったりするなかで、急に往診、電話対応を頼まれても、

状態把握から時間と労力がかかるし、正確な判断ができるかも怪しい。

カルテのアクセスをどうするのか?他院の患者さんの個人情報を、ほかのクリニックの医師が見放題、ってのも

後で問題が起きそう。

診察した時の支払いや請求はどうするの?

普段の診療が丁寧なクリニックと雑なクリニックでは、往診の頻度や内容が変わる。

また、代わりをしてくれるクリニックの先生が、フットワークが軽く、丁寧で優しい場合と、

なんでも往診してくれずに、横柄で、評判がよくない可能性もある。

診療範囲だって、狭く保っているクリニックと半径16㎞圏内に広くとっているクリニックとでは、

代わりをした時の負担が全然違う。

待機の時に、看護師が付いてくれるところと、医師が一人で行くところと、それだけで、サービス内容も、

人件費も違う。

検査の機器だって手持ちのものが全然違う。

そういうところが、現場をちゃんと確認せずに、とりあえず、新規参入を増やせばいいと思っている

節がある。

その結果、質の悪い訪問診療医が増える原因ともなっている。

熱い想いのある、責任感のある、地域医療を何とかしたいと思っている医師なら、待機についても、

そのハードルを越えて、新規参入するはず。

そのうえで、よりよい大気の方法を考えるべきで、待機を楽にするから、休みが取れて楽できるから、

と参入を煽っても、在宅医療の質を下げるだけになるかもしれない。

各区で、医師会や区、市、道が予算と責任をもって、急病センターのように、当番制の往診対応

センターでももう置けて、そこに加入する在宅クリニックの待機往診を一手に引き受ける。

そこから往診をしてもらうクリニックや病院からは、往診当番医を、それとともに、道や市が、訪問補助の

看護師と事務員を配備して、往診に必要な情報を提供し、医師は往診診察、治療するだけ。

そうすれば、月に数回の往診待機の医師を派遣することで、それ以外の待機は発生しない。

休みが取れる。

診療報酬の支給などは、センターとクリニック間でどうするのがベストなのかを決めればいい。

患者情報も、センターに集約し提供するようにすれば、ある程度の個人情報管理もできる。

7つ以上のクリニック、病院が参加すれば、週1回の待機で十分。

一クリニック当たり、月50万円くらいも拠出金を出せば、数件集まれば十分な人件費の予算は立つ。

しかしこれは、ビジネスモデルの話。

実際、まっとう訪問診療医であると、上記のプランには、ダメなところがある。

一つは、患者さんのことを思うと、知らん医者が困ったときに来るのは、あんまりうれしくないし不安。

救急外来ならまだしも、訪問診療は診察が自宅で行われる。

プライベートな空間に、知らん人が来るのはちょっとねぇ。

また、状態が不安定だったり治療調整中の患者さんの変化の時に、主治医でない人が治療を行おうとすると、

どうしても不安感や問題が発生することがある。

翌日の訪問で、往診医の治療や診断をさらにひっくり返すことになることもありうる。

そういったことから、訪問診療の評判を落とすことになるかもしれない。