在宅で輸血が当たり前にできる時代へ向けて

2023年12月14日 こころ院長ブログ

昨日は、厚別区のケア連の公演拝聴しに行きました。

介護認定審査会の仕事を終わらせてからの参加で少し遅れてしまいましたが。

HOME CARE CLINNIC Nーconsept 宮下先生の在宅輸血についてのご講演でした。

輸血は、それ自体は、病院で入院中は、もしくは手術中は、外来では、

あまりハードルなく日々日常で行われている治療法なのですが、

在宅医療となると、なぜかそのハードルが上がります。

物品にしても、それに携わる医療従事者にしても、そして、人ご家族にしても。

在宅で点滴をする、こんなことすら、そんなことまでできるの?

なんて話を聞くことがまだあります。

ましてや輸血なんて。。。。

輸血は、他者の献血を必要な人に補給する行為。

移植と同じです。

点滴と違って、アレルギー反応、拒絶反応、その他の副反応が出やすいと言えば出やすい。

また、その発注や運搬保存方法などの扱い、点滴の仕方、物品なども異なります。

投与中の注意事項、観察項目、投与後の反応なども通常点滴とは異なります。

在宅分野に携わる医療従事者の中には、病院勤めの際に輸血に関わることがなかった、少なかった、

もしくはだいぶ長い期間、離れてしまった、などの経緯から輸血に対する漫然とした

不安感、自身のなさが存在することもあるでしょう。

しかし、貧血に対する輸血の効果は絶大です。

自覚症状や他覚症状の改善は、輸血は唯一無二の効果を発揮します。

主治医が、それを行いたいと思っても、理解し協力してくれる医療従事者が増えない限り、

1パック2時間前後という投与時間の間の患者さんの状態管理、観察、もしもの時の対応のための

待機のために、訪問診療医師がずっと張り付いているわけにはいきません。

在宅輸血OKよ、って言ってくれる訪問看護ステーションの存在と連携が必須です。

当クリニックでも、実は3例ほど、4−5年前に在宅輸血を施行したことがあります。

そのときは、まだ、私も駆け出しの在宅医でしたので、外科でも内科でも、輸血は必要時に

バンバンしていたので、自分では何気なく、それほどのストレスも感じずに

在宅輸血を行いましたが、その時に協力してくれた訪問看護の方々には、過大な

心理的負担を負わせてしまったのではないかと、反省してます。

その後、やはり在宅輸血はちょっと、、、、という声も聞かれたのもあり、在宅輸血を

行うことにハードルの高さを感じました。

基本的に輸血で副反応が出ることは、それほど高い確率ではないと感じますが、その

少しの確率に対する看護する立場の方々の不安感、特に病院では、他のスタッフが近くにいたり、

医師が同じ建物にいるという安心感があったりしますが、在宅では、訪問看護師が

1人で長時間の観察と待機をするということが、過大な不安感を緊張を与えているの

かもしれません。

在宅でも、症状緩和には有効性が高い輸血が当たり前にできるようになると、在宅患者さんの

QOLは大きく向上します。

標準パス、標準対応マニュアル、などを有効に利用し、ある種機械的に、治療の選択肢の

一つとして、在宅輸血、というものが考えられるようになっていけば、在宅医療の

質は、一歩前進するのかなぁ、と思いました。

講演会の後、懇親会で、輸血に携わる訪問看護ステーションの方々や厚別区近隣の病院の

先生方といろいろお話しさせていただき、また、、厚別区の地域医療をどうやって

盛り上げていくか、連携を強化していくかなどの意見交換、それぞれの人となりを

理解し合うことで、今まで以上の密な連携が取れるように、有意義な時間を

過ごさせていただきました。

こうした、人と人が、人となりを理解し合い、目で見える形で人間関係を構築していくことで、

病院とクリニック同士の連携がより密に強化され、日常診療において、患者さんの

利益となるような良好な地域連携が生まれていくのではないでしょうか?

勤務医の頃は、あまり考えていませんでしたが、クリニックを経営し、地域医療、

在宅医療に関わるようになり、あまり得意ではなかった人前に、人の集まりに

なるべく積極的に参加するようになり、その集まりに参加し交流することのメリットを

実感するようになりました。