強い胃薬の漫然とした長期服用はやめましょう

2023年12月08日 こころ院長ブログ

逆流性食道炎や胃痛、胃潰瘍などで、PPI プロトンポンプインヒビターと呼ばれる

強い胃酸抑制の薬が処方されることがあります。

それに伴いスキッとする、胸やけが改善するなどの話をよく聞きます。

ですが、漫然と長期的に服用するのは避けましょう。

一度服用を開始すると、再発を恐れて、不安になり、薬剤の変更や中止に拒否的になられる

方もおられます。

気持ちはわかるのですが、胃酸も意味なく出ているわけではなく、抑えてしまうことで

逆に副作用が出てしまうことがあります。

何が起こる可能性があるのかというと

例えば、腸管感染症、collagenous colitis(腸炎)、胃の腫瘍(カルチノイド、ポリープ)、

ビタミンなどの栄養不足による貧血、肺炎、骨粗しょう症、胃・大腸がん、認知症、

腎機能障害など。

エビデンスがしっかり出ているものというわけではありませんが、可能性です。

みただけで、かなり恐ろしい疾患が並んでいますね。

これらのリスクとむかむか、すっきり感、不安感とを天秤にかけて、中止も検討、

もしくは、もう少し効能がマイルドなH2ブロッカー(ガスターのような)などに

変更したり、胃粘膜保護剤に変更したり、胃腸管運動促進するような薬に変更したり、と

PPIの服用を避けることも考慮する考慮する必要があります。

定期的な胃カメラ、大腸カメラ、採血検査などの検査を受けることと、下血、便秘、下痢、

ふらつき、めまい、むくみ、認知機能低下などの症状が見られたら、主治医に相談する

ことをお勧めします。

純粋な病気だけでなく、服用している薬の直接的な副作用、もしくは間接的な副作用で起こっている

症状ということも考えられるからです。

高齢者の医療においては、症状に合わせて薬を足し算していく通常の治療のほかに、今飲んでいる

複数の薬を不要なもの、害のあるものあるいは、それほど飲まなくてもいいんじゃないか?と思われるもの

をやめていく引き算の治療も大事になってきます。

高齢者の中には、薬をやめていく中で、逆に元気になって言う方もおられます。

もちろん大事な薬は、やめるとてきめん具合が悪くなりますので、自己判断で安易に中止原薬はしないように

ご注意下さい。

必ず、主治医の先生とご相談ください。