多種類服薬を減らしていきたい

2023年10月31日 こころ院長ブログ

ポリファーマシー、という言葉がある。

要は、高齢者に多い、めちゃくちゃいっぱいくすりを飲んでいる状態。

これは、当然なんらかの症状があって始まった薬であり、飲んでいることで、

症状が緩和されて、状態が良くなっている、維持されているという可能性はある。

が、多くの場合は、もう必要がなくなったであろう薬が続けられている、という

こともある。

なぜこんなことが起こるのか。

一つは、薬は、始めるのは簡単、辞めるのは難しいということ。

何か症状を訴えたら、じゃぁ、お薬出しますね、というのは誰でもできる。

しかし、薬飲んだら良くなったよ。となった後に、じゃぁ、お薬減らしましょう、

やめましょうとは、なかなか言わない医者が多い。

なぜか?

薬飲んで良くなった→薬減らすまたはやめる→症状再発する

となると、また治療をやり直しになる、薬をいじって症状が再発したら、患者さん

の不満や不安を煽り、揉め事になる、炎上したり風評被害が出ても困る、なんだか

責任や罪悪感を感じる、薬やめて再発した症状が再開すればまた良くなる

とは限らず、治療に何十する可能性もあるなどなど、

さまざまな理由で、薬を減量する、中止にするという行為に対する責任が重く

感じられ、それを背負うだけのこころが持てないのではないでしょうか?

また、薬を減らすことを拒否される患者さんも少なくありません。同じように

今まで飲んでいて大丈夫だったものを減らされることへの不安、症状が再発する

ことへの不安、そもそも日常の習慣となった服薬の変更という現状の環境変更に対する

抵抗などがあるのでしょうか?

後者の場合は、あまり無理には進めません。長期的に見て、時々ポリファーマシーの改善

について話しながら、少しずつ減らしていくことを考えます。

当クリニックでも、転医の際にすでにポリファーマシーであり、初診からは手をつけることは難しく、

何回か診察を重ねた上で、徐々に、内服薬の変更を行い、たとえば、1日4−6錠必要だった薬を

朝2錠の薬に変更したり、もう必要ないのでは?という薬を徐々に減らして中止にしたりと

患者さんと相談しつつ、状態を確認しながら、極力服薬回数と服薬錠数を減らすことを

目指しつつ、体調の改善、維持を目指します。

実際、薬が減ることで、なんらかの体調不良が改善することもあります。逆に、なんらかの症状が

再燃した、というケースもあります。

ポリファーマシーが起こりやすい条件があります。

一つは、医療の専門性の負の遺産です。専門医が治療してくれることで、症状の緩和に対する、疾病の

治療に対する精度は格段に上がりました。しかし、この症状は何科、この症状は何々病院、と

1人の高齢者が複数箇所の専門医に受診し、治療、処方を受けることで、それぞれの専門医から、

複数の内服薬が処方されます。それが合わさるとあっという間に20錠近くの薬になってしまいます。

ポリファーマシーは、6−8錠でも多いね、というふうに言われますが、実際、高齢者の場合、

多様な疾病が混在するので、10錠くらいは、許容範囲じゃないかと私は思いますが。

それでも、特に精神科にかかわる薬は、多くなる傾向にあるかと思います。しかし、ここの薬は、

特に内科で減らすことは難しく、ちょっと別枠として考えさせてもらっています。

いかに、内科、精神科や神経科以外の薬を減らせるか、というところが勝負だと考えています。

なので、積極てきな治療、検査はもういいかな、定期的なフォローだけでいいかな、という方は、

主治医を内科に転医して、薬の処方などを一括化してもらい、専門家には、年に1−2回、定期的な

診察と検査に通い、薬の変更があれば指示してもらう、ような形をとるのが、地域医療の

理想的な形ではないかと考えています。

そうなることで、主治医の内科のもとに内服薬と情報が集約されるので、より積極的に、

内服薬の調整が行えるようになるのでは?と思います。

これはどこそこの病院、あれはどこそこのクリニックと、責任の所在が散らばっていると、

薬の調整をする権限や責任も散らばってしまい、結局ポリファーマシーを改善することが

難しくなってしまいます。

専門性が進んでしまうことで、以前の主治医に聞けばなんでも相談に乗ってくれる医療から、

症状に合わせてまず患者側から専門医、病院を選択して受診しなければならなくなった、

という弊害も生まれてしまいました。

そこを穴埋めするのが地域医療、町医者であり、昔ながらのとりあえず相談に乗ってくれる、

という医療も展開していますので、お近くの町医者さんに、ご相談してみてください。