訪問看護や訪問リハビリテーションは基本的に介入するもの

2023年04月07日 こころ院長ブログ

在宅医療、地域医療において、もっとも介入のハードルが低いものは、

訪問介護(ヘルパー)とディサービスディケアである。

ここの介入に関しては、ご本人やご家族からの同意は比較的得やすい。

しかし、訪問看護や訪問リハビリテーションについては、時に、介入の同意が得られ

にくいことがある。

ハードルが少し高い。

その一つに、そこまでのサービスを受けるほど自分は悪くない。

人が、serviceがいっぱい介入してくることに抵抗がある、そうなることで、介護の必要性

が高く見え、病状が悪いのではと錯覚する。

ご自身の、ご家族の元気な時のイメージと、調子がいいときのイメージが、都合がよく、そちらの

印象に引っ張られ、考えうるリスクの回避の為や波の中で悪いときの状況に必要なサービスである、

ということがなかなか受け入れられない場合がある。

そもそも訪問診療が24時間365日、対応すると言っているのだから、必要ないなどと考える場合もある。

それは大間違いである。

訪問診療と、看護、リハビリのサービスは、似ても似つかない別のものであることを認識する必要がある。

病院で、医師が一人、当直しているのだから、看護師の夜勤は必要ない、リハビリテーションは必要ない、

そういって、そうだねぇ、と同意する人がいるだろうか?

いやいない。

なのに、在宅や地域医療になると急に、その理論が一定割合でまかり通ってしまう。

そもそも、医師がやれることは限りがあり、医師にしかできない事は多数ある。医師の数は、医療従事者の中で

とても少ない。

なので、医師の指示の下、看護師その他の医療従事者が協力して、チームを作って医療を形成する。

個々の対応や情報収集、その他の作業も、看護師なしには医師は無力である。

また、医療圏の中で、医師が担当する人口と看護師の担当する人口の比率はけた違いである。

厚別区で言うなら、在宅医療を賄う医師は、10人前後。

それに比べ、訪問看護師は100人以上はいるだろう。もちろん、網羅範囲から、他区からも応援が

来ているが。

それを鑑みても、訪問診療で対応できるのは、医師が必要とされる状況のみ、とすべきであることは明らかである。

クリニックによっては、訪問診療の介入条件に訪問看護を入れること。としているところも少なくはない。

全ての緊急対応のファーストコールを医師がしていたら、働き手はいなくなってしまうだろう。

そして、守備範囲の問題。

ただ通院ができないとか、緊急時には対応してほしいくらいの比較的落ち着いている人なら、しばらくは、訪問診療

だけでもいいかもしれない。

いってみれば、大谷選手と少年野球チームとの戦いのように。

ヒットを打たれることを、何らかの疾病の悪化や体調不良により、緊急な医師はその他の人手が必要な、医療看護行為が

必要な状況としよう。

大谷選手が、少年野球チームに打たれるはずもない。ゆえに、内野外野の守備はいらない。内野外野の守備が、訪問看護や

訪問リハビリテーションに該当すると感が和えてもらいたい。

たまにまぐれで

ヒットが打たれても、まぁ、大谷選手が一人で内野ゴロを拾いにいけば、ツーベース・スリーベースヒットになったとしても、

次で打ち取って、失点することは無かろう。

しかし、病状が進んだ場合、少年が、高校生になる、大学生になる。そうなると、ヒットを打つ打者が、ぽつぽつと現れる。

そうなると、大谷選手一人で対応できたんだから、引き続き一人でやってよというのは、ちょっと乱暴ではないか?失点のリスクが高い。

投手と内野手、外野手を一人でやるのは厳しい。

失点のリスクに備えて、内野(訪問看護)、外野(訪問リハビリテーション)を準備すべきである。さもなくば、失点は避けられないし、

大谷選手の疲弊が圧倒的に進んでしまう。

分かり易いようでわかりにくいか。でも、在宅医療はチームである。だから、ピッチャーと共に、内野外野の守備は、揃えておくことが

チームが勝利するためには、重要であるという事。

入院したくない、施設に入りたくない、という願いをかなえるためには、在宅で、入院や施設に準ずるような在宅サービスが受けられる

環境は整っている。

なのに、そのサービスを受け入れないということは、自分の生命に、在宅生活に、多大なリスクをかけるという事。

それにはそれなりの代償と損失が起こりうることを認識し、受け入れる覚悟が必要です、という事です。

いま日常で必要ない、という事ではなく、怒りうるリスクに備える、予防する、対応策を考えておいて、準備、介入しておく、と

いうのが、より良い在宅生活を送る為のコツです。

何か起こってから準備するのでは既に後手に回っています。

誰にでも起こりうるリスクを、常に頭に入れておいて、地域のコミュニティの中で、医療従事者と

良好な関係を作って、安心な、安楽な在宅生活をエンジョイしてほしい。