訪問看護と在宅医療について

2022年03月24日 こころ院長ブログ

訪問看護と訪問診療は、何が違うのか。

医師と看護師、当然その違いがあります。どちらも、24時間365日対応してくれます。じゃぁ、どっちかでよくない?と思う人もいるかもしれません。

でも、そうだとしたら、医師、または看護師、どちらか、病院にもいらない、ということになります。基本的に、在宅医療・在宅看護は、病院で入院して、外来で、できることを病院に行けない人、家で過ごす人に提供するものなので、特別なことをしているわけではありません。また、困ったことがあったときに、医師を呼んでも、医療的なこと以外では役に立ちません。看護や介護の教育は受けていませんし、訓練を受けていることもありません。たまたま、看護師業務を手伝ったり、見たりして、できるようになっている医師もいますが。看護師も医療のスキルや資格の壁などもあり、できない事もあります。なので、どちらか一方のサービスだけで、必要十分ということは無いのです。それぞれのサービスのできることできない事、得意なこと不得意なところがあるので、合わせて使うことが有益なのです。

在宅だからできない、在宅なんだから特別にやってくれること、ということは、基本的にはありません。要は、大きな機械や多くのマンパワーを導入できる環境か、現地の患者さん宅で持ち込める道具だけでできることをやるのか、だけの違いで、実際の医師や看護師の経験やスキルは、どちらもそんなに変わるものではなく、変わるとしたら個人差・個性の問題です。

医師が一人でできることは限られています。看護師が協力してくれて初めて質の高い治療ができます。在宅クリニックによっては、訪問看護の介入が訪問診療介入の前提になっているところもあります。在宅医療を担う医師の数は、訪問看護師の数に比べて極端に少ない。その医師が、すべての緊急コールを待機して受けることはできないし、そんなことをしたら、在宅医師がいなくなってしまう。やめるか、過労死するか・・・。逆に、看護師の協力が十分であれば、医師一人でできることは、数倍~10倍以上に広げることができます。

そもそも、入院していても、何か困ったことがあったらナースコールしますよね。困ったことがあったらナースコール(訪問看護師に相談する)⇒それから、医師の診察・治療が必要であれば、医師にコールして指示を仰ぐ、往診を依頼する。在宅でも基本的には一緒です。なので、軽症・安定している・リスクが低い方は除きますが、看護・介護が必要・中等~重症・点滴や処置などが必要・障碍のある独居の方・これから状態が変化するリスクが比較的高い方などには、訪問診療介入の際に訪問看護も併せて導入することを勧めます。

訪問看護と訪問診療が、しっかり情報共有して、協力し合えれば、在宅にいながら、さながら入院をしているような手厚い医療・看護を受けられるかもしれません。看護から医師、医師から看護に、相互にスピーディで密なコミュニケーションが取れるかどうか、素早いアクションが取れるか、それも重要な要件となります。

とかく、色々は人が訪問してくることに抵抗感を感じられる方は、比較的多いですが、他者の目が多数入ることで、細やかな状態変化の情報が手に入り、より早く対応できるようになります。入院んと違い、在宅では、医療・看護・介護の目が届かない時間帯がほとんどです。定点的な状態観察をより効率的に、より適切に配置できるかは重要です。

訪問診療の毎週がいいか、隔週がいいか、月1回がいいかの感覚は、患者さんの状態や医師の診療能力・感覚・感性などにもよりますが、私の感覚では、隔週がギリギリだと思います。在宅では、緊急対応も考慮すると、隔週以上での安静時の状態を知っていることで、異常時の状態変化や違和感に気が付きやすくなります。余程、状態が安定していないと、リスクがあってもいいとご了承いただけないと、月1回訪問は、あまりお勧めしていません。