小児訪問診療の必要性

2021年11月14日 こころ院長ブログ

現在、訪問診療は、メインが在宅専門クリニックとなっています。当クリニックのように、外来・地域医療をやりながら、というパターンも少なからずあります。しかし、その対象は、高齢者、末期が癌患者、特定疾患患者をターゲットにしていることがほとんどです。当クリニックでは、通院困難事例には、概ねすべて介入することにしていますが、クリニックの運営の観点からは、末期がん患者さんは、嫌な言い方をすると単価が高い、収益効率がいいので、もちろん緩和医療を中心にやりたいという熱意のあるクリニックもありますが、単純に経営面から積極的に末期がん患者さんを多く見ているクリニックも存在します。

目的は何であれ、患者さんが、より良き在宅生活を送ることができれば、いいわけですが、問題はほかにもあります。

小児分野の在宅診療をしているところが非常に少ないということです。小児の先天性疾患もしくは後天性の障害で、ご両親が在宅介護をしなgはら、ヘルパーや訪問看護、訪問リハビリ、ショートステイやディサービスを利用しながら、小児科医に通院している事例が、多く見られます。風邪を引いた、足を痛めた、褥瘡になった、食事がとれなくなった・・・、何があっても主治医のいる所にまでいかなけれなりません。そこに、訪問診療が介入していれば、原疾患の急性増悪は、もちろん主治医のもとに行くべきですが、単純に風邪ひいた、膀胱炎だ、下痢だ、便秘だ、捻挫だ、褥瘡だなんかは、在宅医療でも何とかなる代物です。しかし、在宅医療にかかわる小児科医は、ほとんどいません。通常の在宅医は、内科、げな、脳神経外科、泌尿器科、神経内科、精神科・・・・、など多様な経歴を持つ医師であり、小児については、精通していないことがほとんどで、その小児の特殊性から、依頼が来ても、二つ返事で受けられますとはいいがたいところがあります。在宅専門クリニックは、もうすぐ飽和するくらいいっぱい存在しています。そろそろ、小児科をターゲットにした在宅クリニックができたらいいなと思います。当クリニックでも、小児科の主治医に緊急時は受け入れ協力や年1~2回の定期診察の協力をいただきながら、通常時の状態管理と往診、処方、PEG交換などの訪問診療を受けていることもあります。小児科訪問診療に興味のある先生がおられましたら、ご連絡ください。