⑨できれば外来があること

2021年03月18日 こころ院長ブログ

在宅専門クリニックは、開業資金が極端に少なく、簡単に始められます。借金も少なく、失敗するリスクも、失敗した後のダメージも少ないので、とっつきやすいです。在宅専門クリニックは、外来をする必要はほとんどありません。なので、外来診療に伴うスタッフや設備などがいりません。しかし、できることなら、外来は、あった方がいいです。治療の選択肢が広がります。地域医療は、点ではなく、線や面で広がっています。通院困難になったから、訪問診療の始まり、あとは最期まで・・・という感覚がおそらく一般的なのではないでしょうか?私の持っている地域医療・在宅医療の感覚は、ちと違います。その人が、その地域で過ごす人生そのものにかかわること。なので、通院できるなら、緊急対応が必要ない状態なら外来で診る、通院困難や緊急対応が必要なら訪問診療で診る、訪問診療で診ていても通院可能になったら(例えば、リハビリで元気になり通えるようになったら、越冬などを終えてまた通えるようになったら)外来通院に戻す、在宅介護困難・在宅独居困難になったら入院や入所へ、その他、いろいろな選択肢があります。しかし、外来がなければ、通院可能になっても、自分のところで診られないのでそのまま訪問診療を継続することになり、適当な医療提供ではなくなったり、医療費の無駄遣いになります。もしくは、外来に通うなら、他院に紹介することになります。また、外来で診ていた人をそのまま継続で訪問診療で診ていくことで、継続医療が可能となります。それにより、より地域に密着した医療が提供できます。はっきり言って、外来はもうからないし、大変だし、効率的ではないです、訪問診療だけやっている方が断然、儲かります。でも、地域医療って、そういうことではないと考えます。地域医療にとっては、在宅医が外来をやることの意味は、大きいと思います。