病気だけ見ていませんか?利用者さんと「対話」していますか?

2022年10月10日 訪問リハビリテーションこころ

左に体重をかけられないのは左片麻痺(または左大腿骨頸部骨折)があるからだ。

だから立ち上がることや歩くことに支障をきたしている。

これはリハビリ専門職の人が「この疾患があるからだ」と、はじめに考えることかもしれません。

 

先週末に参加した学会(オンライン)で、ある講師より以下の話がありました。

 

左片麻痺の高齢女性を担当しました、リハビリ開始当初から左に体重をかけられませんでした。

リハビリで麻痺や筋力が回復し、体重をかけられる身体機能に改善したのに、歩く時に左に体重をかけられないのは変わりありません。

なぜだろう…

過去の経験を聞いていると「そういえば30歳くらいで出産した直後に左足首をねん挫して、それからずっとかばって歩いていたのよね」

これは事前情報に記載がなく、対象者と対話してわかったことです。

それが明らかになってから足首の治療も積極的に行い、左に体重をかけて滑らかに歩けるようになりました。

 

…自分はそこまで評価できただろうか?痛感しました。

リハビリ担当者が対象者にリハビリを実施するのはたいてい病気を発症した後で、発症前のことは知らないことがほとんどです。

「左片麻痺」「左大腿骨頸部骨折」など病気やケガの先入観にとらわれ、なぜその歩き方となるか、今までどんな生活をしてきたか、どんなことを大切にしてきた方か、といった基本的な情報が抜け落ちることがあります。

対象者の来歴をおろそかにしないこと、とかくリハビリ専門職は技術を提供するばかりになりがちですが、対話することの大切さを改めて学ぶことができました。

上記のケースは対話を十分に行わなければ一生、左足に体重をかけられず、ご本人が納得する歩き方にならなかったかもしれません。

対象者「と」語る ≠ 対象者「に」語る

この違い、わかっているようで実践は難しいですね。

「自分はできている」と思っている療法士こそ注意が必要な部分です。

独りよがりのリハビリにならないよう、これからも精進します。

 

学会に参加すると今までにない知見や治療方法を知り、たくさんの気づきを得られることが楽しいですね。

演題発表もしましたが、自信が実施したリハビリ内容についてアドバイスをいただいたり、質問に答える(言語化する)ことで知識が整理され、より精度の高い治療につながるのも有難いことです。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。