2026年03月02日 こころ院長ブログ
開院以来、7年以上も続けてきた、訪問リハビリテーション事業所 ST部門が
令和8年2月末日をもって閉鎖となりました。
長らくのご愛顧の御礼と、ご迷惑をおかけいたします関係各所の方々、患者様にお詫び申し上げます。
私は、かねてから、在宅医療における経口摂取、ということの重要性を訴えてきました。
生きること=食べること、といっても過言ではないのでは?
という考えを持っていたからです。
回復期リハビリにおいて、口から食べる、そのきっかけ一つで、認知面、精神面、栄養面、体力面などが、
ギアが変わって良い方向に向かっていった、という経験を何度もしました。
胃瘻 PEGというものは、画期的な医療技術、ツールではありますが、
食べる、という行動がもたらす影響力には遠く及びません。
消化管を利用できる、栄養が自然に摂取できる、内服がコントロールできるなどの実務的な面では、
すさまじく有用であることは変わりありませんが。
今後の在宅医療では、中心にSTが必要になる。
そういう信念をもって、開院当初から、訪問リハビリテーション事業所を立ち上げ、最初は
PT 0人、OT 0人、ST 1人というかなりマニアックな経営をしていました。
そこから、厚別区周辺のケアマネージャー、訪問看護、訪問リハビリ、施設病院、患者さん、ご家族さんに
経口摂取の大切さ、誤嚥性肺炎のこわさ、ST訓練の必要性を布教活動しました。
結果は、本当に渋く、STの訪問枠の1~2割くらいしか埋まらないような経営が続き、当然、莫大な赤字部門
でした。
訪問診療の黒字で補填しながら、布教活動をつづけました。
ケアマネージャー、訪問看護などからは、STの有用性、必要性などの理解が得られることもだんだん増えましたが、
ケアプランに加えてもらえることは、なかなか増えませんでした。
身体的訓練や訪問介護、通所介護を優先したい、単位が足りない、患者さん・ご家族が必要ないと言う、などが
主な理由でした。
それでも、しつこく、粘り強く布教活動をし、徐々にST訪問枠が埋まり始め、訪問STスタッフが2名に増え、
少しずつ軌道に乗るかと思われました。
しかし、訪問ST2名分の訪問枠を埋めるほどの需要は、まだ生み出せませんでした。
最近ではSTの介入をしてほしい、というケアマネージャーさんからの依頼もポチポチ来るようになって、
ようやく時代が追い付いてきて、在宅医療では嚥下訓練、経口摂取が大事、ということが世の中でも
注目されてきました。
その反面、他の事業所で見ても、訪問のSTの人数は、減少傾向。需要が上がってきたこのタイミングで、供給の方が
減少傾向になってきました。
当法人でも、昨年から訪問スタッフが2名→1名→そして今回0名に。
当法人の方針 在宅医療における訪問STの必要性、は、間違っていなかった。しかし、時代を先取りしすぎていたため、
まだ早すぎた。いばらの道でした。
ですが、訪問リハビリSTの必要性が高いことは明白。
ならば次の打つ手は一つだけ。
他の事業所との連携を組んで、厚別区の訪問STを盛り上げていくこと。
現在も、訪問STをやってくれている事業所はいくつかあります。
そこに、必要な患者さんをどんどん紹介して、STの必要性を売り上げでも訴え、他の事業所で、STの枠が足りないからST増やそう、
というムーブメントを起こすしかない。
STは、PTやOTと異なり、誤嚥性肺炎、窒息、という合併症、自己のリスクがあり、ST自身が、
訪問リハビリに対して、他の2職よりも消極的な印象を受けます。
誤嚥性肺炎、窒息などのリスク管理、対応は、訪問看護、訪問診療の仕事。
もちろん起こさないように細心の注意は必要だが、起こることは避けられない。
そういった際には、看護と診療が、必ずバックアップするから、という連携を構築することが、訪問STの発展に寄与すると
思います。
在宅医療においても食べるということは、とても大事な能力であり、幸せです。
それを生み出し、守っていくためにも、訪問STは救世主のような仕事です。
病院内で、施設内でSTに従事しているこころある方々の一部でも、訪問事業に参戦してきてくれることを
切に願います。