訪問診療医は、本当に足りていないの?

2023年12月22日 こころ院長ブログ

訪問診療を行う医師の数は足りていない。

これが今の定説です。

ですが、私自身は、足りていない、、、、という印象を受けたことは、実はありません。

当クリニックでも、開業以来6年目ですが、手いっぱいで患者さんを受けられません、ってことは、

ほぼありませんでした。

単純に、新しい患者さんの受け入れが重なったり、重症患者さんの往診あったりで、その日にはちょっと

受けられませんよとか、スタッフの休みの兼ね合いで、一時的なマンパワー不足のため、

その日には受けられませんよとかは、あったかもしれません。

ですが、基本的には、依頼があれば即日もしくは翌日、退院日、などに訪問診療を開始しています。

基本的に、世にいうマンパワー不足は、本当に不足しているわけではなく、偏りだったり、

バランスの悪さだったりするのだと思います。

国の方針、道の方針、札幌市の方針としては、在宅医は足りないので、増やすべきだ、ということでは、

一致していますが、その実、把握している現場の状況についての議論には、差があるようです。

漠然と在宅を推し進めて入院医療費を減らしたいという思惑から、在宅医を増やさなければ、足りないのでは?

と考えているようにも感じます。

それは真実かどうかは定かではないなと感じることがあります。

訪問診療のクリニックはとくに、簡単に開業できます。

開業資金も少なく済むし、アパートでも開業できます。

大げさな話、パソコンと車とお部屋があれば、できちゃうくらい。

だいぶ言いすぎていますが。

だからこそ、開業は、どちらかというと乱立している気がします。

また、大手会社が母体のサテライトクリニックも多数存在します。

なので、訪問診療の受け手がいない、ということは、実はそんなにないのでは?

少なくとも札幌市では、ないのでは?と感じています。

国や都道府県、市は、不足しているから、新規参入を増やさなければ、そのためには、

参入のハードルを下げなければ、楽に稼げるようにしてあげなければ、、、、というような

動きをしているように感じることがあります。ちょっと、わかりやすくするために、極端に

表現していることをご理解いただきたいのですが、、、、。

ですが、訪問診療は、サービスが命です。

そのサービスの質は、医師の知識や技量もさることながら、人間性や想いが大事です。

24時間365日の対応をベースに在宅総合管理料という診療報酬が設定されています。

つまり、いつでも待機していて、必要に応じて往診に行く、そのための管理料が、

在宅クリニックの存続を支えています。

その往診に行かない、待機をしたくない、そのような訪問診療医は、ハードルを下げてまで、

新規参入を促す必要はない、それこそ、在宅利用全体の質の低下を招く可能性があるのでは?

と懸念しています。

一人で開業することは、ほかの人ともめない、相談必要ない、気にする必要ない、下につく必要がない、

上に立って責任を持つ必要がない、という自由な権利を得る反面、すべてを自分でやらなければならい、

決定しなければならない、責任を持たなければならないという側面がある。

何でもかんでも、誰かに助けてほしい、助けてくれるならやるわ、というくらいの気持ちであれば、

きっと、本当の意味でのいい在宅医療はできないんじゃないだろうか。

一人で開業するなら、まずは24時間365日 一人で対応するには、どのくらいの患者さんが診られるだろうか、

範囲はどのくらい行けるだろうか?、施設の訪問は同の位をどうやって行こうか?休みを取りたいときは

どうしようかな?協力を依頼できる人はいるかな?医師会に相談してみようかな?

やっぱりスタッフを増やそうかな?どの職種を増やしたらいいかな?人件費はどのくらいになるかな?

あらかじめ、訪問診療をやっているクリニックに見学に行ったり、話を聞いたりしようかな?

同じような形態で開業している先生にアドバイスもらおうかな?

いろいろ下調べしたり、準備して、勉強して、計画して、そして、見通しがついたら、開業でしょう。

医師会の仕事をしていて初めて気が付きましたが、医師会は、思ってたよりも、いろいろな相談に

乗ってくれたり、いろいろなことに気を配って、話し合い、対策を検討し、それを実行に移そうとしたり

しています。

医師会は、入会料が高いけど、少子化の影響もあり、あまり恩恵が受けられないから、入らないとか

いわれていることもありますが、お金の面の恩恵だけが、医師会に加わる意味でしょうか?

医師会は、その地方の医療全体をいかに良くするかをみんなで話し合って、どうにかしようとして、

救急、在宅、小児、市民啓発そのた、いろいろな分野で、多くの会員の先生が、自分の時間を

犠牲にして、ボランティア的に活動しています。

一部のメディアやネット民がたたいているような、開業医の利益を守るための金の亡者のような

団体、では決してありません。

もちろん一部、医師の利益を、医療従事者の利益を守るための政治活動もしていますが、ほんの一部です。

それは当然、医療従事者がどんどん追い詰められたら、医療崩壊しちゃうから。

今回の改訂みたいに、医療費、介護費が多いからといって、すぐに医療従事者、病院、クリニックから

売り上げを取り上げようとするのが役人なので、それに対抗しないと、病院やクリニックが世の中から

なくなってしまうので。

また脱線しましたが、要は、多少大変でも、その仕事をやりたい、人のために頑張りたいという

気概のある医師が新規参入しないと、人数ばっかり増えたって、在宅医療の未来はない、

ということです。

医師会などを通して、1人で開業する、している在宅医の先生が、なんらかの当番体制を構築して、

交代で休めるようなシステムを作ったらいい。その代わり、自分も他の先生が交代で休めるように、

当番として登録して貢献する。GIVE & TAKEでないとやっぱり成り立たない。

助けて欲しいけど、自分は協力はしない、自分は仕事を増やしたくない、という方がもしいるなら、

そんな人には協力はみんなしたくないと思いませんか?

訪問診療している先生方も順番に高齢になっていきます。そのなかで、新規開業だけでなく、その先生のところ

で一時勉強させてもらいつつ、上手に継承していく、という方法もあるのではないかな?

そうすることで、患者さんも切れ間なく移行できるし、経営の安定は確実。

新規開業したクリニック同士がお互いに連携して、待機を交代でやるとか、工夫の仕方はいっぱいある。

何でもかんでも、与えられないとできません、やりませんという体質を作っちゃ、先行き不安だらけに

なっちゃわないかな。

待機は、それほど大変じゃない。当直とは違う。

電話っがなったら対応するだけ、よばれたら、往診するだけ。

自分がやれる適正な患者さんの数を把握してれば、そこまでの苦労はない。

1人でやっている方が逆に気楽で、他のクリニックと交代で協力して、って方が逆に

苦しくなるということもある。

まず、待機とはどんなものか、そこを体験して、自分に耐えられるのかな?そこを確認する必要があると思います。

3年4年くらい、ほぼ一人で24時間365日待機をしながら、在宅クリニックの経営と診療をしていましたが、

それほど大変すぎるぜって思ったことはありません。過度な不安を抱いていていもしかたがない。

もちろん、現在の2人体制になって格段に楽です。

ですが、医師を雇うにはかなりの原資が必要です。その分、仕事量を増やす必要があり、それが可能なのか?

それにより逆に大変にならないか?なども検討する必要があります。

もし、これから、在宅医療、訪問診療をやってみたい、検討しているけど、どうしようかな?

わからないな?と思われている先生がおられましたら、ご相談いただければ、

私見と持論たっぷりですけど、なんらかのお話はできるかもしれません。

かくいう私も、開業前、1年弱、会社の経営、経済学、社長・トップとしての在り方、在宅医療、

医療介護制度、在宅で使いそうな医学知識の復習、必要もしくはあったらいいなの資格や証明書、

受けておいた方がいい研修、実際に近隣で開業している在宅クリニックに診療同行体験をさせていただき、

お話を聞かせていただいたり、などをすませて、開業趣味レーションをじっくりしたのちに旗揚げしました。

その間に自然と何名かの志を共にする多職種の面々が旗揚げ時に一緒にいてくれました。

何事も、なるべく多くのこと、考えうることの趣味レーションと対策を考えておくことが大事です。

経営は、行き当たりばったりは絶対にダメ。

医者は、経営がへたくそ。

だって、診療しかできないんだから。ちゃんと統治・経営の仕方を勉強しないと。

ちなみに開業してしまうと、自由が利かなくなるので研修とかに生きづらくなります。開業する前に、

気になる研修は受けておきましょう。

褥瘡とか、緩和とか、小児救急とか、栄養管理とか、JATECとか、ACLSとか、地域なんちゃらとか、

介護主治医意見書の書き方とか、急性期から直で在宅へ入ると、保険制度の違いや介護サービスの種類、

その他いろんなことがわかりません。

時間があるうちに知識を入れて置き、あとは実践あるのみ。

あと、リハビリテーションは、ほとんどの医師が、ちゃんと勉強していません。

ですが、在宅ではもっとも大事な知識の一つですので、ちゃんと勉強してから開業してくださいね。

電子カルテは、クラウド型にしたほうがいいっすよ。持ち運びに便利だし、級は往診にも対応しやすいですから。

また、端末をいちいち専用のもの用意しなくてもいいですし。

同時にあちこちで開けますから。

まぁ、在宅クリニックを開くための。。。。というのは後日、また改めて書きます、たぶん。