マニュアルよりも-ism

2022年09月10日 こころ院長ブログ

地域医療をより良くするには、マニュアルや枠組み、学会や協会、専門・認定・・・などなど、いろいろなのを作るという方法があります。

私の持論は、マニュアルは、それをみれば、それに従えば、ある一定のクオリティのサービス提供が比較的安定的に提供できるのではないかと考えます。ですが、あくまで、最低ライン。専門や認定を受けても、それをどのように実践に用いられるかという本人次第となります。

組織を運営するにあたり、社則やマニュアル、資格や専門・認定、研修、講習などに縛られるよりも、—ismを共有することが有用ではないかと考えます。

-ismとは。

一般的な意味や解釈は知らんけど、私は、いわゆる向く方向、考え方、思考回路、想いなどなど、を含むものと考えています。つまり、社長が、会社が、組織が思う、こういった方向に会社を持って行きたい、サービスを提供していきたい、事業を展開したい、こういった想いをもって患者さん・お客さんに接してもらいたい、こういった想いをもってサービスを提供してもらいい、こういった目標をもって行動してもらいたい、目指すところはこういったこと、こういったところ、というようなビジョンのようなものを共有すること。

こういったビジョンを一人一人のスタッフが、概ね共有していれば、細かいことでいちいち、確認を取らなきゃ、聞かなきゃ、報告しなきゃ、指示を仰がなきゃ、指示が無いからやらない、自分で考えない、言われたことだけしかしない、とかいう事にはならない。ビジョンがあれば、それを共有していれば、スタッフそれぞれが、自分で考えて、ビジョンに合うようにそれぞれが目標を立て、評価し、時に、相談・報告・協議して、各々が主導的にサービス提供の質を高めていくことができる。

マニュアルでは、こういったことはできない。マニュアルを超えることはできない。ほぼ、マニュアル以下になってしまう。

認定や専門も、ある種、こういった分野のことについての専門的なことの標準的なサービスであり、それを超えていくには、それぞれの人の想いと考えとビジョンが必要になる。

よく神の手と呼ばれる外科医がメディアに取りざたされる。一部、抜群に手術が上手な先生がいるのは確か。だが、基本的には、どこの病院に行っても、一定ラインの標準的な手術はおよそ安全に受けられる。名医と呼ばれる外科医のほとんどは、手術の適応に対する判断が優れている、出血などを最小限に抑える慎重さと丁寧さ、解剖学などに対する知識がしっかりしている、患者さんに対する説明が丁寧であり、信頼関係性をしっかりと構築できる、危機管理/予測がしっかりできている、精神的にも身体的にもタフである、不器用ではない、など意外と地味なもの。ブラックジャックのような、この世のものとは思えないメス裁き、なんてものはあまりない。

専門医、指導医などなど、肩書きは、概ねみんな同じものを持っている。違うのは、手術や患者さんに対する想いだったり、ビジョンだったりするんじゃないかな?

とかく、組織運営者は、マニュアルや規則、社則・・・そんなんに頼りがちだけど、本当に大事なのは、-ism、の方かもしれません。

週に1回訪問かごに行き、患者さんの状態を確認し、服薬管理や栄養状態の管理をする。一般的な訪問看護としては、しっかりできているように見えます。

ですが、その実、そのサービス内容には天と地の差があることがあります。

ある看護師は、上記を淡々とこなして1時間の時間を費やし、帰っていく。毎週同じようなことをして、単純に仕事として帰っていく。

ある看護師は、上記をこなす最中でも、患者さんと親しく話し、状態を表情を確認しなが、時に話を誘導して、何か困っていることは無いか、などを探ったり、看護業務とは言えないよなことでも、できるなら、そういった困りごとも解決、相談に乗ってあげたり、そもそも、関係性の構築をしっかりできているので、その看護師が来ることが利患者さんの楽しみな予定の一つとなっていて、看護師がいる間に、患者さんが楽しみや喜びを感じられたり・・・・。さまざまなサービスの提供を受けていたりします。

同じ1時間の滞在、訪問看護で、同じ料金が発生して、どちらのサービスの質が高そうでしょうか?

できることなら、後者のような、手厚いサービスを受けたいものですが、利用者さんは、看護婦さんを選べません。ケアマネがプランを立てて、事業所に発注し、事業所から、選ばれた看護師が来ます。この人がいいと、指名することはほぼできません。ただ、この人はやめて、別の人にしてということはできます。が、気まずくて、なかなか言い出せる人はいません。

だとしたら、事業所全体で、ビジョンを共有して、どの人がきても心地よくサービスが受けられるようにするべきだと思います。人手不足で、とにかく、人うぃれてマンパワーを確保する、というのが、現在の在宅医療分野での主流なのかも仕入れません。いないものはいない、いないと困るから、来てくれる人はとりあえずいてほしい、そういった会社の事情もありますが、悪いサービスならむしろ提供しない方がいい、できないものはできないと言って、無理な仕事は受けない、そういった、英断も時には必要なのかもしれません。