回復期リハビリテーション 第2話

2022年05月28日 こころ院長ブログ

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回復期リハビリでは、どんなことをしてもらえるのか。

主治医がいるので、基本的な入院・病状管理が受けられます。また、1日に69単位(1単位20分)の入院リハビリが受けられます。主治医に指示で、理学療法(PT)、作業療法(OT)、言語聴覚療法(ST)に時間が配分されます。運動機能改善、マッサージ、物理療法、作業療法、高次脳機能訓練、認知機能改善訓練、音声発話訓練、嚥下訓練・・・、様々なプログラムがオーダーメードで組まれます。

また、月に1回、担当者が集まりカンファレンスが開かれ、病状や今後の見通し、リハビリ状況、退院後の事などを話し合い、その結果を本人・ご家族に還元することが義務付けられています。そのため、細やかな、充実したリハビリが受けられるわけです。制度上、理論的には・・・・。しかし、形上はそうなのですが、必ずしも、主治医が、リハビリテーションに積極的とは限らないという事です。好き好んで回復期リハビリテーション病棟に勤務しているとは限らない。病院の経営方針で、そこに配属されてしまったのかもしれない。内科、外科、整形外科のようにそれぞれの科の先生がそれぞれの科で働くのと違って、回復期リハビリ科というものはありません。また、リハビリテーション専門医は、ごく希少な専門医の先生方で、主に大学病院や大きな病院などで勤務され、専門的なリハビリテーションの治療や研究をされています。その数に比べて、回復期病棟はとんでもないスピードでとんでもない数に膨らんでいる為、おもに、内科・外科・そのほかの科の先生方が、意味合いとしては少し異なるかもしれませんが、コンバートして、従事されています。中には、リハビリテーション科臨床認定医(専門医は、ごく限られた専門機関での一定期間の研修が必要なため、取得するハードルが高い)を取得されて、精力的にリハビリテーションに励んでいる方も多くいます。長年、専門科として勤務されたのちに、リハビリという違う畑の修練を、ある程度の年齢が進んでから励む姿には、頭が下がります。なので、そういった姿勢と情熱がある先生は、どんどんリハビリテーションに詳しくなっていきます。しかし、わかんないや、療法士さん、うまくやっといて、よきに計らって、というような対応をずっと続けていると、いつまでもいいリハビリテーションの指示、管理はできないままです。もうお判りでしょうか?どのタイプの主治医が自分についてくれたかによって、リハビリテーションの開始の段階で、すでに、うまくいくか行かないか、効率よく進むのかどうかは、ちょっと変わってしまう可能性があるという事です。主治医は選択できるわけではないので、指名制でもないので、今のところは運、としか言いようがありませんが。

以前お話ししましたが、回復期リハビリ病棟はものすごくお金が動きます。なぜ、そんなに高額報酬なのか。それは、あまりに多くの人数の専門家の手と目と時間と労力が要求されるため、高額な診療報酬となるわけです。医師、看護師、介護士、事務員、社会福祉士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、薬剤師、栄養士・・・・その他、一般的な病院勤務の方々。その多くがチームを組んで、カンファ連を行いながら一人の患者さんを入院から退院までお世話するわけで、その人件費だけでもかなり高額になります。

施設基準もスタッフの人数から、専門職の配置から、多めに厳しく決められています。また、回復期リハビリのサービスの提供具合や患者さんのリハビリ目標達成具合により、加算が細かく分けられている為、その機能維持にはものすごい労力がかかります。これは、最初の頃のとにかくリハビリをするという時代から、ある程度、すそ野が広がった多段階で、医療費を抑えるために、入院日数が短い、機能の上昇率が高い、重症患者をちゃんと診ている、厳しい人員配置を行っているなどの、一見、優良な回復期リハビリ病棟とそれを達成できていない回復期リハビリ病棟で、同じ1日入院管理しても、診療報酬は、段階的にかなりの差額を付けられるシステムになっています。最初は、1~3段階くらいでしたが、どんどん細かく分けられています。色々充実させれば、いっぱい診療報酬がもらえるというよりは、充実させていないと減算されていく、というようなイメージに近いんじゃないかな?だんだん、同じことをしていても、減算されていくのが医療介護の制度の改定の傾向ですからね。

なので、一時期ほど、回復期リハビリをはじめれば、とにかく儲かるぜ、病院経営は安泰だぜ、という時代ではなくなってきていますね。