訪問リハビリテーションについて 第4話

2022年04月25日 こころ院長ブログ

在宅におけるリハビリテーション。通所リハビリと訪問リハビリの使い分け?違いについて??

ひところにリハビリテーションと言っても、内容は、できること、やれること、目的などは、微妙に?、大きく?

異なります。

外来リハビリは、治療の一環として行われることが多いでしょう。

通所リハビリ、訪問リハビリは、治療の一環としても行われますが、在宅生活を円滑に進めるため、より能力を向上するため、介護量を軽減するため、生活の質を向上するため、自覚症状を軽減するためなど、介護・生活の観点から行われることが多いです。

通所でも訪問でもどっちでもいいじゃない?おんなじじゃない?と患者さん、ご家族からよく聞かれます。じつは、ケアマネージャーさんの多くも、この違いを知らない場合があります。また、訪問看護ステーションの看護師や下手をすると療法士ですら、そこらへんに詳しくない人もいます。

そこで、私の考える通所と訪問の違いを話してみましょう。

通所リハビリの利点は、何と言ってもディとの組み合わせです。単に、リハビリに行くわけではなく、お風呂に入ってくる、食事をしてくる、もしもいるなら友人と会える、副数人の利用者やスタッフとの交流が持てるので社会性の刺激がある、送迎などで家の外にでる、患者本人が外に出ている為に介護者の自由な時間が作れる、などなどです。これらは、理論上の利点であり、各各の事業所の方針やシステム、マンパワーにより受けられないものもあります。こうしてみると、ビバッ、通所サービス。すごくいいじゃん。これだけでいいじゃん。と思えますね。そのため、ケアマネージャーさんの中には、とにかく、ディサービスの導入を最優先に考える方もいます。

リハビリテーションの観点からするとどうでしょうか。通所リハビリは、そもそも上記のようないろいろな付加サービスが期待されます。ということは、リハビリテーションのサービスについては、それ自体は薄まってしまう事も想定されます。そもそもリハビリを行うことで利益がどんどん上がっていく、というシステムではないのです。全体的な通所ということでのサービス提供となります。また、リハビリスタッフについては、患者さん1人に対して1人、なんて潤沢なことは無く、療法士一人で複数人数を担当することになり、当然、個別のリハビリは受けられたとしても短時間、多くは、集団リハビリやレクリエーションとなります。それを目的とするなら、通所は最適です。ですが、機能向上訓練、症状改善訓練と考えると、やはり、時間と手間がかかるので期待はできません。通所リハビリで、ぐんぐん動けるようになり、痺れや痛みが改善する、誤嚥のリスクが軽減して食べられるようになる、などを期待することは難しいと思われます。

訪問リハビリテーションはどうでしょうか。患者さん一人に対して一人の療法士が付きます。完全個別リハビリテーションです。40分から60分の十分な時間をかけて、症状改善のストレッチやマッサージのようなものから、起居動作・ADLを改善する訓練、その他の身体機能改善のプログラムを行います。おふろに入れてもらうことはできませんが、自宅のお風呂に自分で入るまたは、家族に入れてもらうための着替えや入浴動作・洗体・浴槽マタギ動作から浴槽の環境調整アドバイスなども受けられ、能力によっては、自宅でお風呂にはいれるようになります。社交性という面では、他人である療法士と交流することで、通所の不特定多数と交流するというほどのメリットはありませんが、得られ、また、逆に顔見知りに会うという事での仲良くない多くの人に会うことによる精神的なストレスを受けずに済みます。必ずしも、高齢者が不特定多数の多くの人と交流することが良いとは限りません、高齢になると変化を好まない人も多く、できれば知らない人には会いたくない、話したくない、すごくストレスだ、と思っている人も少なくないことを知っておく必要があります。いくら、認知機能の維持のためなどと言っても、本人が苦痛に思うような社交場に無理やり連れだすことは、避ける必要があります。

リハビリテーション、機能向上、介護量の軽減、ADLの改善の観点からは、訪問リハビリ>>>通所リハビリです。

リハビリ以外の付加サービスを享受するなら、通所サービス>>>訪問リハビリです。

同じようなリハビリ、という名を冠したサービスですが、そもそもの機能と目的が違うことを十分に認識したうえで、サービスの導入を決めるべきです。

通所リハビリと訪問リハビリのもう一つの決定的な違いは、その指示系統にあります。訪問リハビリテーションには、必ず、医師の指示が必要です。こういう病状に対して、こういった目的で、こういうことを目標にリハビリを行い、こういう状況では、リハビリは休んでくださいなどの医師の指示があり、定期的な診察や看護師の介入が必要となります。一方、通所リハビリには、基本的には看護師も医師も関与しません。ケアマネージャーと療法士だけの判断で行われています。意外とこの辺りについては、あまり気にされていませんが、決定的な違いです。何を目的で、何をすればいいのか、どこまでやっていいのか、いつまでやるのか・・・、そのすべてが、通所リハビリでは、療法士一人にゆだねられているということです。私は常々思っていました。通所リハビリといえども、医師の指示のもと、責任の下に行われるべきなのではないか。主治医であるのに、その患者さんの通所リハビリに対して、指示が出せない、ゆえに、報告もしてもらえない、何をしているのかもわからない、そんなことで在宅医療・介護っていいのかなって。そういった指示系統や責任の所在からも、リハビリテーションの質においては、訪問リハビリ>>>>>通所リハビリなんじゃないかな、と個人的には思います。

次回、良い訪問リハビリとはなんなんだろう