時々あるお別れ

2022年04月20日 こころ院長ブログ

訪問診療をしていると、時々、入院や入所、セカンドオピニオンなどで診療途中で終了になってしまうケースがあります。

短い間でも長い間でも、診療していた患者さんが手を離れていくのは、ちょっと寂しい。

体調が落ち着いて、ご家族と同居や転居などで、診療範囲外へ行かれるのは、うれしい。体調不良で在宅困難になり入院になってしまうのは仕方ない、在宅介護困難で入所になってしまうのも仕方ない。

セカンドオピニオンの場合は、なぜ、そうなったかを知りたいし、改善すべきことなら改善したほうがいい。本人ご家族から、うかがうチャンスがあれば、必ずうかがうようにしている。

時に、思い違いやすれ違いで、関係性が上手くいかずに、別の先生に紹介させていただいたケースは1件ありましたが、今までは、関係性がこじれての転医はほとんどありませんでした。

ケアマネージャーと訪問看護、訪問介護、通所、本人、家族、親戚などで話し合って、変更になる場合があるようですが、本人、ご家族からの苦情は、ほとんどありませんでした。疾病の影響で、怒りっぽくなっていたり、忘れてしまったり、思い違い・記憶違いや勘違いをしたり、というのは、悪気があるわけではないので仕方のないことで、それをクレームとはとらえません。ゆってもせんの無いことですから。

当クリニックは、地域医療、在宅医療、在宅看護、在宅リハビリと多職種にわたり展開しており、それぞれに同じ理念をもって、充実した地域医療・在宅医療をお届けしようと思っています。そのため、各職種のスタッフの、仕事に対する熱意が強いです。同一法人で同じ患者さんに介入することもあるし、近隣の他の法人の事業所さんと協力して介入することもあります。その際に、患者さんにはどこが介入しても、できるだけ同じようなクォリティのサービスが受けられたらいいなと思っています。ですので、その患者さんがよりよいサービスが受けられるように、住んでいる場所や病状、事業所のマンパワーやその事業所の業務能力なども加味して、依頼するところを提案したり、お勧めしたりします。もちろん決めるのは、患者さんやご家族です。

他法人といえども、ちゃんとしてほしい、こうしてほしい、こういう方向で、目標で、介入してほしいと、結構、ずばずばと言わせてもらったりします。それに、真摯に応えてくれようとする事業所もあります。他法人といえども、地域医療をしっかり支えたいという思いは、大体同じなんだと思います。ですが、その反面、いまいち、反応してくれない事業所があることも否定できません。そういったところには、小うるさい、目の上のたん瘤みたいなやつら、と思われているかもせれません。理想と現実は違うところはあるかもしれませんが、事業所ごとの事情があるかもしれませんが、それは、そっちの話でしょ?患者さんには関係ないでしょ?仕事を受けると決めたら、最大限できることをする責務があるでしょ?そっちの事情を患者さんに押し付けないでよねぇ、できないんだったら、その仕事は受けちゃダメでしょ?と思ったりするわけです。

水清ければ不魚住、とも言いますが、最初から、ゆるーくやろうと思ったらだめです。結果的に、そこまではできなかった、というのは仕方ないけど、やる前から、そんなことはできない、やるつもりはない、やったことがない、人手が足りない、ここまででいいですか、自分たちの業務が手一杯だから、不安だから・・・、あれこれ言い訳を考えるべきではない。あくまでも患者さんファーストであるべき。

患者さんがもう限界、入院したい⇒入院させてあげてください⇒正解

患者さんがくるしそう、今後どうなるか(私が)心配なので入院させてほしい⇒患者さん自身は家に居たいというなら不正解

患者さんがくるしそう、マンパワーが足りずに面倒見切れない、病状が重くて知識と経験が足りないので面倒見切れない、緊急対応できないので入院させてほしい⇒患者さんの対応ができないなら、入院など安全策を取るのは正解、だが、そもそもそうなることが想定される患者さんでその対応ができないスタッフなら仕事を受けたことが不正解

かな?

状況によりケースバイケースだが、在宅生活は、今だけでなく、未来を見据えるもの。目先の自分たちの組織の売り上げや成績、諸事情などだけを考えるのではなく、その患者さんを自分たちが介入することで、どれほどのことができるのか、何をしてあげられるのか、それが患者さんのメリットにつながるのかを考えて、依頼を受けるべきだと思います。

超脱線しましたけど、セカンドオピニオンのことだったかな?当クリニックは、患者さんの権利として奨励していますので、他院からの転医も、逆に当クリニックから他院への転医も当たり前のこととして考えています。ただ、当クリニックから他院への転医の際は、言いにくいことがあったとしても、なぜ転医なのか、その理由が明確に知りたいです。だって、その理由がわかれば、同じ理由で転移される患者さんが将来いなくなるかもしれません。もし、なんか嫌な思いをした、という事であれば、将来、同じ思いをする方が一人でも減るかもしれません。

今まで2~3件の転医がありましたが、客観的に見て、当クリニックの素行がひどい、というものは、なかったと思います。患者さん自身や介護をされているご家族の意向ではなく、別の親族や当法人以外の関係事業者などの思惑が、そこに介入することが多いのかもしれません。本人の為に、本人の利益を最優先で精一杯やっていることが、他の人の思惑と違う、やってほしいこととは違う、思い通りにならない、というこことで煙たがられることもあるのだろうかな。

それでも、良かれと思う事、正しいと信じることを貫くことは、やめないつもりです。

医療業界同士の忖度は嫌い、しない方がいい。それが患者の不利益、損害になるならなおさら。

こういった多少批判的な評価の入った記事は、基本的には私が感じたことを一般論として記載してます。ですが、たまに、自分のことを書かれているんじゃないかと思ったという方もおられます。無いです。個人を狙って、かくことは無いです。一般論をかいて、良い方向に気づきを促すことはあっても、批判することは無いです。

もし、他の雑誌やネットなどでも、自分に向けて書かれているわけではないのに、自分が非難されている、責められていると感じたなら、それは、己の責任です。自分自身が、心の底で、自分をそう評価しているという事です。自分で思っていることを書かれているので、自分に向けて書かれていると感じてしまうのだと思います。そうだとしたら、自ら、改善すべきです。非難されていると思うということは、よくないな、と自分でも思っているのにそうであるという事。ならば、座して待たずに行動すべき、何が悪いかわかっているなら、その反対をすればいい。非難されたとしょんぼりしていたって仕方ない。されてないんだし。自分で自分を非難しているんだから、自分で何とかすべき。するしかない。

今回のこの記事については、急に転医の話があったで、ご家族にうかがってみたところ、特別、不満があったわけではなかったとの事だったので、胸をなでおろし、一方で、なんでなのかなぁ、と思ったところから、過去を振り返って、一般論を考えてみたといういきさつです。