リフィル処方箋について

2022年03月03日 こころ院長ブログ

日本でも、リフィル処方箋という制度がもしかしたら始まるかもしれません。

欧米ではすでに、あるようです。

リフィル処方箋とは何ぞや。。。

ざっくりいうと、1枚の処方箋で、何回か同じ処方が繰り返しもらえるというもの。

1か月分のいつもの定期薬をもらった後、リフィル処方箋をもっていると、来月は、クリニックや病院を受診しなくても、その処方箋を持って行けば、処方箋薬局で定期処方薬が買えるというもの。

病院やクリニックに受診する回数が減るので、病院やクリニックの売り上げは減ります。つまり医療費が削減できる、と考えているわけです。

薬局は・・・・というと、処方箋があれば、薬剤指導料などが算定できるため、クリニックに受診していようがいまいが、売り上げは変わらないわけで、問題ない。

医師会としては、減算、下方修正、薬剤師会としては、特に問題ない。むしろ、前回と同じ処方であることが確実なので、議事照会などが無く、プラス改定となる感じでしょうか。

まぁ、医療費が膨大に膨らむ中、どうにか削減する方法を考えないといけないのだけれども、果たしてリフィル処方箋でいいのかな?

私が個人的に考えるリフィル処方箋じゃない方がいいんじゃない?と思う点。

1つは、定期処方を出している外来ですが、別に、ただ何にもしないで処方しているわけではない、ということ。ただ処方しているだけ、というクリニックもいっぱいあるかもしれませんが、少なくとも私は、直に患者さんの入室時の動きや表情、声の力や感じ、活気、メンタル的な部分、全体的な活き、などを見ています。それらをもって、会話をし、いつもと変わらないね、だから、いつもの薬でいいね、と判断しています。その回数が減ることで、今までよりも、場合によっては、診療レベルが落ちるかもしれません。毎月診て、違いや変化を感じ取るのと、3か月ごと、6か月ごとの点で診るのとでは、微妙な変化は感じ取りにくくなります。

2つ目は、リフィル処方を受けている間に、本当に体調は変わりないのか、だれが確認するの?ということ。現状では、おそらく、薬剤師さんが診るしかない。もし、その後、実は調子が悪かったんだけど、薬だけほしかったので。。。ということなどで、のちのち急激に体調を崩して、救急搬送されたり、状態が悪くなって主治医のもとに駆け込んだ時に、だれが責任取るのだろうか?そもそも、もめたりしないだろうか?リフィル処方をするときに、そういうことがあっても文句は言いませんというような同意書でも取るのだろうか?

3つ目は、リフィル処方と言っても、1年も出せるわけではなく、おそらく使えて3回位だろうか。1か月処方として、3か月くらい分になるのかな。だとしたら、最初から、3か月処方でクリニックや病院で出してあげれば、受診の回数も減るし、処方箋による薬剤情報提供料も3回から1回に減るので、さらに医療費の削減になるんじゃないのかな?ということ。もともと、長期処方をしていたものを、これまで、徐々に枚数制限や日数制限をかけて、受診の回数を増やしてきたのは、政治の方なのに、ここへきて、逆にかじ取りするような政策なんじゃないかな。長期処方だったら、病院・クリニック側は、自分たちで大丈夫だと診断して処方しているので、リフィル処方でもリフィルでもいいよと診断しているわけだけど、より直接的に、調子が悪いときに責任をもって対処しやすいのだけど、リフィルの場合、間に薬剤師さんが入ってしまうと、医師によっては、なんで薬剤師案が診た時に異常に気が付かなかったんだ、何でDo処方を許可して出したんだ、おかげで発見が遅れたじゃないかと責任転嫁する、責任逃れする医師や病院が出ないとも限らない。

医療経済的についても、医療システムの単純化についても、責任の所在についても、リフィル処方 < 長期処方の許可、のような気がします。

果たして、今後、リフィル処方は、日本でも本当に導入されるのか、どのようなシステムで導入されるのか。