2021年10月22日 こころ院長ブログ
在宅医のなかで、リハビリテーションの知識と経験を豊富に持つ医師は、かなり稀です。ですが、もっとも重要なスキルの一つと考えます。そもそも、若者が週1~3回、ジムでトレーニングするのに、後遺症がある方が、高齢者が、サルコペニア、廃用がある方が、疾病のある方が、リハビリテーションしなくていいなんて理論は成り立たない。しなければ、単純に機能低下の速度が速まり、寝たきりや転倒・誤嚥性肺炎のリスクが高まるだけ。
その割に、訪問リハビリの必要性については、まだ、あまり理解を得られていない気がする。在宅医療・看護を提供する際には、訪問リハビリは、まず最初に検討すべきサービスの一つです。 検討の中で、通所でもいい、訪問看護でのある程度の運動でいい、家族と一緒にやるからいい、自主トレーニングで対応できるなどのことを検討し、サービスを入れない、という選択をしていく。検討しないでほっておいて、のちのち動けなくなってからリハビリを開始しよう、なんて考えは、後手後手です。
悪くなってから良くするのは大変。時間もかかるし、本人も大変。悪くなりそうなことをあらかじめ予測して、リスクヘッジ。早めに介入して悪くしないように、さらに今よりもよくしてQOLの向上とリスクの軽減を図る。それをあらかじめ提案するのが、プロの在宅医療者というもの。
そこには、在宅生活者の疾病や病態だけでなく、短期~長期的な生活全般、人生の楽しみ、あらゆる可能性を考慮したリスク管理、医学にだけとらわれない生活学的な視点などを持ち合わせる必要があります。そこまで考えてくれているプロの在宅医療者に巡り合えたら、ラッキーです。すべての業界においてそうですが、本物のプロ、普通、それっぽく見える、言うことだけは立派だけど実が伴わない、そもそも大したことない、むしろひどい・・・、なんて感じで、仮に訪問診療、看護、リハビリテーションなんかを依頼しても、どこに頼むかで、天と地ほどの差があります。
リハビリテーションは、特に効果が歴然です。ただ何となく、マッサージしているな、歩かせているな・・・、というリハビリをよく見かけました。やらないよりはいいけど・・・、レベルの内容ですね。はっきりとした意図を計画をもって行われているのかは、疑問。通所リハビリ、訪問リハビリは、特に、そういうことが起こりやすいので、注意が必要です。