地域医療・介護の問題、数ではない

2021年09月21日 こころ院長ブログ

地域医療や介護の問題で、マンパワー不足などがしばしば取り上げられますが、近年、在宅専門クリニック、訪問看護ステーション、ヘルパーステーション、入居施設など、相当数、新規に乱立しています。そして、閉業する事業所も多く存在します。足りないのは数ではありません。本当の意味で、地域医療や介護をする気概や心があるマンパワーが、足りていないのだと私は思います。今、在宅医療、介護の分野は、もっとも注目されている分野の一つです。そこに、ビジネスチャンスを求めて、多くの人が参入してくるのは、当然です。今後も増えていくでしょう。その中で、患者さん・利用者さんの争奪戦のようになってはいかないだろうか?より、利益を求めるために、単純に、サテライトを増やす、箱物施設を増やしていく、人件費を抑えて、ぎりぎりの人数でのサービスを提供する、提供するサービスが掲げている理念や広告とかけ離れている、患者さん・利用者さんの方にしっかり向いていないサービス提供や管理体制、今できてはいないが今後できるようなための努力をしていない、請求している料金に見合わないサービスしか提供していない、そんな事業所・施設はいっぱいある。そして、しっかりした理念を持ち、マンパワーを充実させ、理想的なサービス提供を目指している事業所や施設・クリニックが存在していることも知っている。果たして、この差を、どれくらいの利用者さん・患者さん・その家族が、ケアマネージャーが、認識できているだろうか?今、枠が部屋が空いている、聞いたことがある、知っている、宣伝していた、近いから、ケアマネージャーに勧められたから、単純に、そんなことだけで、利用する事業所や施設、クリニックを選んでいないだろうか。地域医療にどっぷりかかわっているクリニックの目線からは、事業所や施設・クリニック・病院などなど、地域医療にかかわる事業所の質の格差は、びっくりするほどある、と感じます。今は、まだ、作れば、仕事が舞い込んでくる状況ですが、数年後には、事業所・施設も飽和状態となり、自然淘汰が始まってくるでしょう。その時に、すごくいい事業所なのに、単純に経営の耐久力のある大きなグループに競り負けて、閉業してしまうところが出てくるのも予想されます。そういった状況は、ひどく残念です。コロナ禍で。個人経営のアットホームなディサービス事業所みたいなところが、おそらく耐久力の問題で、閉業してしまったんだろうな、という事例も散見します。〇〇グループみたいな全国規模、北海道規模の大きな組織は、資金が潤沢なので、そう簡単には傾かず、どんどん事業展開していきます。そのはざまで、こじんまりだけど、ハートフルな気概を持った小さな事業所が、追い込まれていなくならないといいなと思います。小さな事業所の方が、かえって、きめ細やかな、心温まるサービス提供をしてくれていることも多々あるんじゃないかな、と思います。大きければいい、小さければいい、有名ならばいい、ということではなく、その五感をもって、その事業所・クリニック・病院が、対価を払うにふさわしいかどうかを見極める姿勢が必要だと思います。地域医療・介護サービスにおいても、患者さん・利用者さん=客ということではなく、お客様は神様だ、ということではありませんが、セカンドオピニオンができる、ということを知っておく必要があります。