2021年08月24日 こころ院長ブログ
コロナ禍では、特に、自宅療養患者さんの往診に行った際に、すぐにでも入院した方がいい状態、ということはありうる。通常の訪問診療や往診の際には、連携病院や救急病院に医師またはソーシャルワーカーが連絡し、救急搬送する。コロナ感染でなくても、今は、5~10件くらい断られることは、いつものこと。この時間は事情に無駄だ。現場の医師は、一人で状態の悪い患者さんの治療にあたりながら、ドクター TO ドクターでの連絡を求められ、処置+指示+電話での情報提供を迫られる。一人の医師のキャパをすぐに超える。そのうえで、何件も断られる。そんなことをしていたら、どんどん患者の状態が悪くなる。救急車の要請の際も、搬送先のことや状態、患者情報など色々聞かれるが、悠長に話している余裕はない。その話は、ドクターでなくてもよくない?いや、もともといいのかもしれない。話を代わればよかったのかもしれない。時間がかかれば、患者さんの負担も増える。入院受け入れ可能な病院の情報を保健所や市が把握して、救急隊から患者情報を流して、それなら、どこそこ病院へ搬送してくださいという、システム的な救急体制を作れば、救急隊の負担も減るし、そもそも陽性患者さんとの接触時間を減らせるので、現場での感染リスクもかなり減らせる。待機時間が少なくなり、より多くの患者さんのところに医療従事者が駆け付けられる。政治がやる部分はそこじゃないの?
コロナ感染の方の搬送については、札幌市では基本的に保健所が管轄している。現場の往診医は、協力できる範囲での往診と治療・対応を行い、保健所も毎日状態確認の電話をしている。夜間帯や土日は、保健所がファーストコールを受けており、緊急時には、入院先を手配してくれる。往診のあと、保健所に報告するが、今日中に入院が必要、明日にも入院が必要などの報告をすると、可能な限り、入院先を保健所が探してくれる。そもそも、入院できる病院のリストを現場は知らない。なので、現場から入院先を探すことはできない。その分、協力できうる限りの在宅療養患者さんの診療に集中できる。札幌は、第4波の時の在宅療養者のサポートの経験を活かし、あのころよりももっとシステム化、効率化をすすめている。仕事の分担をしている。あとは、受け入れ先の拡大と往診・診察医師の増加をすすめることが求められる。今までは、保健所+在宅医師の力で何とかしてきましたが、ようやく、札幌市医師会も在宅医師および外来・入院担当医師にも協力要請を始めたようです。これで、在宅療養患者さんをサポートするすそ野がもっと広がるといいなと思います。